年金の受け取り前に亡くなると損をする?
2023.2.15
年金は原則65歳になると受給することができます。
受給開始を繰り下げることで、年金を増額させることが可能です。
平均寿命が年々長くなっている現代では、年金を増額して受け取るために年金の繰下げを行っている方も多いでしょう。
しかし、年金の繰下げ請求をする前に亡くなった場合、
受け取るはずだった年金はどうなるかご存知でしょうか?
今回は、年金の繰下げ請求をする前に亡くなった場合についてお伝えしてまいります。
年金の繰下げ制度は、本来年金の受け取りが開始する65歳から受け取るのではなく、
65歳以降に年金の受け取りを遅らせることで、遅らせた分だけ年金を増額できる制度です。
ちなみに2022年4月より75歳まで年金の繰下げができることになりました。
繰下げを行うと、年金の受け取りを遅らせた月数×0.7%が年金額に増額となります。
1ヶ月単位で年金の受け取りを決めることが可能です。
例えば、70歳0ヶ月で繰上げ請求をした場合は、本来の年金額に42.0%が増額されます。
75歳で繰上げ請求をした場合は、本来の年金額に84.0%が増額されます。
出典:日本年金機構「年金の繰下げ受給」より
また、増額された年金額は一生涯受け取ることができるので、1年間の受給金額を増額させ、
亡くなるまで増額した年金額を受け取ることができます。
老齢基礎年金と老齢厚生年金をそれぞれ繰り下げることができ、一方のみを繰り下げることも可能です。
自身の生活に合わせた年金の受け取り方を選択すると良いでしょう。
『繰下げ期間中に亡くなった場合』
65歳以降から繰下げの請求をするまでの期間を繰下げ期間と言います。
この繰下げ期間に亡くなった場合は、受け取るはずの年金を自身で受け取ることはできません。
しかし、遺族が代わりに年金額を受け取ることが可能です。
このときの年金は「未支給年金」となります。
未支給年金を受け取ることができるのは、亡くなった人と同じ生計の遺族です。
具体的には、配偶者・亡くなった人の子ども・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹、
それ以外の3親等内の遺族が対象になります。優先順位もこの通りです。
繰下げの請求は、遺族が代わりにすることができないため、
65歳時点の年金額が決定すると、亡くなった人が本来受け取るはずだった年金は未支給年金として遺族に支払われることになります。そのため、繰下げて増額した金額で受け取ることはできず、65歳時点の年金額しか遺族は受け取ることができません。
また、未支給年金の請求をした時点から5年分までの年金しか受け取ることができない仕組みとなっています。5年よりも前の年金については時効によって消滅してしまうためです。
例えば、75歳から卯急開始予定で待機中の人が74歳0ヶ月で亡くなった場合、
69歳0ヶ月より前の年金は権利が失われている可能性があります。
繰下げ制度は「増額」というメリットがありますが、繰下げ期間中に亡くなった場合は増額した年金額を本人だけでなく遺族も受け取れないというデメリットがあります。
これらを踏まえた上で繰下げ請求を選択するか否かを考えるようにしていきましょう。