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気をつけるべき「仕組債」

2023.4.5

4月が始まりましたね!
今年から投資を始める方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「仕組債」についてお伝えしてまいります。

 

仕組債は、一般的な債券に特別な仕組みを組み組んだものです。
一般的な債権よりも利率が高く設定されていますが、
商品内容が複雑でリスクが高く、特に気をつけないといけない商品と言われています。

一般的に債券は株式や不動産と比較してローリスク・ローリターンとされていますが、特別な仕組みを組み込んだ仕組債は内容が複雑なものが多いため投資が難しいと言われます。
仕組債投資が難しいポイントをいくつかあるためお伝えします。

 

 

①『リスク・リターンが複雑』
一般的な債券は、リスクとリターンが明確でわかりやすいものです。

リスク:価格変動リスク/信用リスク

リターン:利息債券の主なリターンは利息です。

利率は債券発行時に決められるため、運用からどれくらいの利益を得られるかを投資開始時に知ることができます。また、満期まで保有すれば額面金額が償還される仕組みであるため、元本割れの可能性が低く運用計画を立てやすくなっております。
リスクとしては、中途換金時に譲渡損失が出る可能性(価格変動リスク)と、発行体の破綻などにより利息や償還金の支払いを受けられなくなる可能性(信用リスク)があります。

仕組債は上記に加えて、商品によってその他のリスクとリターンが発生します。
ですから、あらかじめ内容をしっかり確認することが重要です。
仕組債には多様な商品がありますが、代表的なものはEB債(他社株転換可能債)とリンク債(株価指数連動)の2つです。この2つの詳細を見ていきましょう。

 

▼EB債(他社株転換可能債)
EB債とは、満期時に償還金が他社株式に転換して支払われる可能性がある債券です。
株式での償還の場合、債券発行体とは別の企業の株で返還されるため「他社株転換可能債」と言われます。
このEB債のリスクとリターンのポイントは以下の通りです。

EB債リスク:株式での償還の場合、時価換算金額が投資元本を下回る可能性あり
EB債リターン:一般的な債券と比較すると利率が高い

EB債は株式で償還された場合、償還時の株価によっては時価換算金額が投資元本を下回る可能性があることは押さえておきたいポイントです。
EB債では、定められた株式の価格変動によって償還方法が決定します。
価格がノックイン判定水準を下回らなかった場合には額面で現金償還されるため、元本割れはありません。
一方でノックイン判定水準を下回った場合には、あらかじめ決められている対象株式と現金調整額によって償還されます。
なお、償還時に受け取った株式はすぐに売却せずにそのまま保有し続けることもできます。
将来的に株価が下落すれば含み損が発生しますが、価格が上昇すれば売却益を得ることもあります。
このようにEB債は、株価の値動きによって最終的なリターンが変わる点が大きな特徴です。

 

▼リンク債(株価指数連動債)
リンク債とは、日経平均株価やS&P500といった株価指数に連動してリターンが変動する債券です。
連動する値動きによって、償還時期や償還金額が変わります。
このリンク債のリスクとリターンのポイントは以下の通りです。

リンク債リスク:指数の価格変動によって額面金額以下での償還となる可能性あり/早期召喚によって受け取れる利息が減る可能性あり
リンク債リターン:一般的な債券と比較して利率が高い

リンク債は連動する指数の価格が、あらかじめ設定されたノックアウトやノックイン判定水準に到達したか否かによって償還のタイミングや償還金額が変わるのです。指数の価格が判定水準に達しなかった場合、償還日に額面での償還を受けられます。この場合は投資元本を割り込むことなく、償還までの利息を受け取ることが可能です。
保有中に指数の価格がノックアウト判定水準を上回ると、償還日前に額面で償還(早期償還)となります。
この場合、投資元本を割り込むことなく償還金を得られますが、早期償還のため利息額は少ないです。
指数の価格がノックイン判定水準を下回った時には、特に注意が必要です。その後指数が持ち直して償還時の価格が行使価格を上回れば、額面で償還されるため損失は発生しません。

しかし、償還日の指数の価格が行使価格を下回った場合、償還価格は額面以下となって損失が発生します。
これが、リンク債特有のリスクです。
リンク債の投資を検討する場合は、連動する指数の値動きの傾向や今後の動向についてある程度把握しておくことが重要となります。

 

 

②手数料が高いことが多い
手数料が高い商品が多いのも、仕組債投資が難しいとされる理由の1つです。
債券投資では通常、購入時に手数料を別途支払うことはありません。
しかし実際には、購入価格に含まれる形で手数料の徴収が行われています。
仕組債は複雑な仕組みのため、一般的な債券よりも組成や運用にかかるコストがかさみ、その分手数料も高くなります。金融庁が作成した「資産運用業高度化プログレスレポート2022」によると、EB債の手数料は投資元本に対し平均5%〜6%程度と推察されています。
手数料が高い金融商品は、リターンを生むまでにより多くの利益が必要になります。そのため手数料が低い商品を選ぶことは、運用を成功させるうえでとても重要です。仕組債の手数料は明記されていないものが多いことにも注意が必要です。

 

 

③個人向け商品としてはロットが大きい
仕組債の最低投資額は一般的に数千万円以上に設定されます。
個人向け国債は1万円、株式投資は数万円、投資信託は100円から投資が可能であることを考えると、多額の資金が必要な金融商品であることがわかります。
ハイリスク・ハイリターンの金融商品である仕組債への投資は、仮に損失が発生しても許容範囲内である余剰資金で行うことが重要です。購入のために本来別のことに使う予定だったお金にまで手を出してしまうと、損失が発生したときに将来の資産形成に大きな影響を及ぼすかもしれません。
仕組債投資を行う際は、資金状況や将来のプランを確認し、あらかじめ余剰資金がどのくらい用意することが可能かを確認しておくことです。

 

以上の点は、仕組債投資を行うのであれば必ず知っておかないといけません。
仕組債に関するトラブルが多数報告されていることから、金融庁は金融機関に対し、顧客の資産形成に資する商品組成、販売、管理を行う態勢が構築されているかを監視する対策を示しています。金融庁が監視を行い金融機関に改善を促すことで、今後は顧客本位の販売が行われるようになって欲しいところです。

仕組債は上手に付き合うことで高い利息を得られるメリットはありますが、やはり一般的な債券よりも商品内容が複雑でリスクが高いものなので、細かく確認してから判断するようにしましょう。

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