関税制度とは?
2025.2.5
1月20日にトランプ氏が第47代目の大統領に就任しました。
就任直後からいくつもの政策を実行している姿は、とても見事ですね。
トランプ大統領の経済政策の中でも、多くのメディアが「関税政策」について取り上げています。
そこで今回は、関税制度についてお伝えしてまいります。
▼関税
関税とは、輸入品にかけられる税金のことです。
一般的に、輸入する業者が輸入する国に対して納税をします。
関税の役割としては、次の3点が挙げられます。
・国内産業の保護
→価格などで国際競争力が劣る国内企業を保護するために競合する輸入品に関税をかけることで輸入品と国産品の価格差を縮小し、該当する国内産業を保護する。
・国家収入の確保
→輸入品に関税をかけることで、税収を増やすことができます。
ただし近年先進国では、他の目的に比べ国家収入の確保に対する重要度は下がっています。
・貿易歪曲効果是正機能(制裁機能)
→貿易歪曲効果是正機能として、輸入国のダンピングに対して行われるアンチダンピング関税や輸入国の国内産業に損害を与える補助金に対する相殺関税があります。
▼関税率の種類
税関のHPを参考に関税率の種類と税率適用の順位について見ていきます。
関税率は、法律に基づいて設定される関税と条約に基づいて設定される2種類に大別されます。
・基本税率
→基本税率は、国内産業の状況などを踏まえた長期的な観点から、内外価格差や真に必要な保護水準を考慮して設定される税率。
・暫定税率
→暫定税率は、一定の政策上の必要性などから、基本税率を暫定的に修正するため、一定期間に限り適用される税率。
・特恵税率
→特恵税率は、開発途上国・地域を支援する観点から、開発途上国・地域からの輸入品に対し、原産地証明書などの提出などの要件を満たすことにより適用される税率。
▼条約に基づいて設定される税率
・協定税率
→協定税率は、WTO(世界貿易機関)加盟国・地域に対して一定率以上の関税を課せないことを約束している税率。
WTOは、WTO協定で定めた貿易に関する国際ルールの実施・運営と貿易・通商の解決機関などの役割を担う国際機関です。1995年1月に発足し、2024年6月時点で164カ国が加盟しています。
・EPA税率
EPA税率は、経済連携協定(EPA)などを締結している国からの商品を対象に、それぞれの協定に基づいて適用される税率です。
また、税率適用の順位は、特恵税率・協定税率・暫定税率・基本税率となります。
ですが、暫定税率や基本税率が協定税率より低い場合は、低い方の税率が適用されます。
以上、関税制度の概要や目的、関税率の種類についてお伝えしました。
関税政策によって株式市場が大きく変動した時、冷静な投資判断等を行うことができるように、関税について基本的な知識を持っておくことも大切です。