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退職金は「一時金」か「年金」どちらで受け取るか?

2022.6.17

退職金を受け取る方法として、いくつかパターンがあります。
全額、あるいはある程度の金額をまとめてもらうのが「一時金型」で、
全額、あるいは一時金で支払った後の残額を、毎年少しずつ受け取るのが「年金型」です。
年金型の方が受取額は多くなる可能性があるものの、
所得税など税金面でみると、一時金の方がお得な場合が少なくありません。

いったいどちらで受け取るとよいのでしょうか?

今回は、それぞれのメリット・デメリットをお伝えします。

 

【退職金を一時金として受け取る場合】退職所得・分離課税

◉メリット
退職金を一時金として受け取る場合、1番のメリットは税負担が軽くなることです。
一時金として受け取る退職金は「退職所得」とされ、税制上優遇されているためです。
一般に、退職所得の金額は、「(収入金額-退職所得控除額)×1/2」と計算します。
退職所得控除額は、勤続年数が長いほど増えます。


​​出典:国税庁「No.2735 同じ年に2ヶ所以上から退職手当などが支払われるとき」(2021年9月1日現在法令等)

例えば、勤続30年の方が、退職金2000万円を一括で一時金として受け取った場合、
課税対象となる所得金額は、以下となります。

2000万円-(800万円+70万円×(30年-20年)×1/2=250万円

退職金2000万円を受け取るにあたり、所得税の課税対象となるのは250万円です。
また、退職所得は原則として他の所得と分離して計算するため(分離課税)、
退職所得額が社会保険料に影響することはありません。

◉デメリット
一時金のデメリットは、年金型と比べて受取総額が少なくなる点です。
年金型の場合はまだ受け取っていない退職金を金融機関が運用を行うため、
受取額が増えるのが一般的です。一時金としてもらうとしたら2000万円という人は、
年金型を選べば、年利によっては数百万円の単位で受取額が跳ね上がる可能性があります。

 

 

 

【退職金を年金として受け取る場合】雑所得・総合課税

◉メリット
退職金を年金としてもらう場合、メリットは受取総額が増えることです。
退職金の運用益が上乗せされるため増えます。
受け取りを長期にするほど、受取総額が増える可能性は高まります。

◉デメリット
退職金を年金として受け取る場合、税負担額が高くなる恐れがあります。
一時金として支払われる退職金であれば、退職所得として税制上の優待措置がありますが、
年金型にはそれがありません。毎年年金を受け取る年金額は、そのまま雑所得として
計上されるため、公的年金やパート・アルバイト代など他の収入と合計所得が跳ね上がり、
税金や社会保険料が高くなる可能性があります。

 

【退職金を年金として受け取る場合】
退職金を一時金と組み合わせて受け取る場合は、受取総額と税負担のバランスをよく
見て受け取ることが重要です。上手に組み合わせができると税負担は減りますが、
バランスを欠いた受け取り方を行うと、受取総額がほとんど増えないのに税負担高だけ
が大きくなるということになりがちです。必ず慎重な計算を行ってください。

 

 

〜退職金の受け取り方の注意点〜

①今後の働き方によって受け取り方を検討
退職後、どのように働くかによって、有利な受け取り方は違います。
退職後に働かない方であれば、年金型にしても税負担がかなり大きくなることは避けられます。
所得が小さければ小さいほど、税負担は軽くなるためです。

また、厚生年金に加入しながら働き続ける人も、年金型による税負担の増大を
それほど心配する必要はないです。これまで通り、社会保険料の半分は会社が負担してくれます。

一方で、「自営業をする」「厚生年金に加入せず、パートやアルバイトで時々働く」という人は、
なるべく一時金で受け取るようにしてください。稼げば稼ぐほど老後の不安はなくなりますが、
年金型を選ぶと常に退職金が年間所得に上乗せされるため、税負担が重くなるからです。

 

②税負担が増えない工夫をする
受取総額を多くしたいと年金型を選ぶ場合には、
税負担があまり重くならないような工夫が必要です。
例えば、65歳からもらえるようになる公的年金は、受取開始時期を遅らせる繰り下げ
受給制度があります。企業年金をもらえる間は公的年金を受給せず、
所得を減らして税負担を軽くする方法で節税できます。
また、繰下げ受給を選択すると、将来もらえる年金額が増額されます。

 

③将来不安が大きい場合は一時金を選択
「受け取る金額が多くなるといっても、運用益がどれだけ出るかわからない」
「税制度の改正で税率が上がる可能性がある」など、
将来不安がある方は、一時金を選択することが良いでしょう。
「もらえる時に、もらえるだけもらう」ことを選択するだけで不安は大きく和らぎます。

 

 

退職金の受け取り方には3つのパターンがあり、
それぞれにメリットとデメリットがあります。
退職後に、「働く」か「働かない」かで選択は大きく変わります。
選択を誤ると、せっかく増えた運用益も税負担でマイナスになります。
だからこそ、計画的に選択しなくてはいけません。
その人その人によって、損得は異なりますので・・・。

個人的には一時金で受け取り、税金を極力抑え、
分散投資を行うことが良いと思います。
まとまったお金を持っていることで、不労所得が形成できるため。

まず、「資産状況の確認」「退職後に働くか否か」「退職金の計算」を行った後に選択することをおすすめします。

 

 

 

 

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