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会社員が支払う社会保険の計算方法

2023.1.19

会社員の方は毎月、社会保険料や厚生年金保険料が給与から差し引かれています。
毎月差し引かれることはご存知だと思いますが、その金額はどのような基準で決まっているかを知っている方は非常に少ないです。
そこで、今回は社会保険料の計算方法についてお伝えしてまいります。

そもそも社会保険とは、個人事業主やフリーランスの方が加入する国民健康保険や国民年金などを含んだ社会保険制度も含んでいます。今回はその中で、会社員が加入する健康保険・介護保険・厚生年金保険について取り上げます。これらの保険は公的保険となるため原則、強制加入となります。

社会保険料には、「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険料」の3つがあります。
社会保険料は「標準月額報酬」を基にして、保険料率を掛けて算出します。

社会保険料は計算を容易にするために、被保険者がえた給与などのひと月分の報酬をその金額ごとに区別します。その区分を「等級」といい、健康保険は50の等級、厚生年金保険は32の等級に分けられます。
毎年4〜6月の給与の平均額を等級に当てはめて「標準報酬月額」を算出し、その年の9月から1年間適用となります。

 

では、3つの社会保険料の計算方法について見ていきましょう。

 

『健康保険料』
計算方法は、「健康保険料=標準報酬月額×健康保険料率」です。
そのうち、従業員負担分は半分となります。
健康保険の運営主体には、全国健康保険協会(協会けんぽ)、健康保険組合(組合健保)の2つがあり、
自社等で健保組合を持っている企業等以外は全国健康保険協会に加入しています。
保険料率は、全国健康保険協会が都道府県ごとに決めており、令和4年度の健康保険料率は9.15%〜10.65%の間です。
東京都の場合をみると、介護保険第2号被保険者に該当しない場合は9.81%です。
組合健保の保険料率は3〜13%の範囲で、各組合が自由に決めることができます。

 

『介護保険料』
計算方法は、「介護保険料=標準報酬月額×介護保険料率」
そのうち、従業員負担分は半分となります。
介護保険の運営主体は全国の各市町村です。
協会けんぽは全国一律で毎年変更があり、令和4年は1.64%でした。
組合健保の保険料率は、各組合が自由に決めることができます。
介護保険料の被保険者の支払いは40歳以上の従業員が対象です。

 

『厚生年金保険料』
計算方法は、「厚生年金保険料=標準報酬月額×18.3%」
そのうち、従業員負担分は半分となります。
厚生年金保険の運営主体は日本年金機構です。
厚生年金保険料率は、平成29年度以降は18.3%となっています。
厚生年金保険の加入期間は、会社等で働き始めてから退職するまでですが、
上限は70歳となり、70歳以降に厚生年金保険料は発生しません。

このように社会保険料は、それぞれ計算方法が異なるのです。
実際に計算してみると、以下のように計算できます。

(例)会社員45歳/標準月額30万円/健康保険22等級/厚生年金保険19等級の場合

◉健康保険料率:9.81%
健康保険料:30万円×9.81%=2万9430円
従業員負担分:2万9430円÷2=1万4715円

◉介護保険料率:1.64%(40歳以上必要)
介護保険料:30万円×1.64%=4920円
従業員負担分:4920円÷2=2460

◉保険料率:18.3%
厚生年金保険料:30万円×18.3%=5万4900円
従業員負担分:5万4900円÷2=2万4750円

このように、年齢や標準月額、等級などがわかると毎月差し引かれる社会保険料がどのように計算されているかを確認することができます。
なんとなく、毎月引かれるものと捉えるだけではなく、
どのように計算されて差し引かれるかを知ることも大切です。

これらを知ることで、今後法改正などで保険料率等が変更される場合でも、
差し引かれる金額をあらかじめ知っておくことができます。

「知っている」か「知らない」ということは、大きな差を生むのです。

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