なぜ長期投資は難しいと感じるのか?
2023.11.16
みなさん一度は長期投資が最も良い投資手法だと聞いたことがあるのではないでしょうか?
私も長期投資は多くのリスクを軽減できるため、非常に良い投資手法だと思います。
ですが、長期投資を行う多数の人は途中で挫折していることをご存知でしょうか。
資産運用会社は、一般的に10年程度の長期でパフォーマンスを上げることを目標にしていますが、
投資家の投資信託の平均保有期間は2.87年と非常に短いです。
長期投資は良いと理解しているはずなのに、なぜ長期投資できないのでしょうか?
それは、多くの方が得をすることより損をしないことを選ぶからです。
今から3つの質問をしますので、AかBのどちらかをお選びください。
問1
A:80%の確率で60万円貰えるが、20%の確率で何も貰えない
B:確実に30万円貰える
問2
A:80%の確率で60万円支払わなければいけないが、20%の確率で1円も支払わなくて良い
B:確実に30万円支払う
問3
50%の確率で8万円貰え、50%の確率で5万円支払うゲームがあります。
A:参加する
B:参加しない
みなさんはどちらを選択しましたでしょうか?
問1では、Bを選ぶ人が多いとされています。
30万円を無条件で貰える機会を逃すのは損だと感じるからです。
問2では、Aを選ぶ人が多い傾向があります。
人はできる限り損失を回避するために、多少のリスクを背負っても損失を減らそうとします。
問3では、Bの参加しないを選ぶ人が多いです。
単純に金額を比べると、利益の方が上回っていますが、ゲームに負けると損失を被ってしまうため、ゲームへの参加率は低下します。
このように人は「損失を回避する選択肢を過大評価する」傾向があり、確率論を軽視して意思決定を下すことがあります。これを行動経済学の「プロスペクト理論」と呼び、マーケティング等でも活用されています。
「買ったらお得」よりも「買わないと損」の方が買ってしまいますよね?
投資をする中で、一度も損をしないということは恐らくありません。
よく「アメリカの株価は過去50年以上ずっと上昇してきた」と言われますが、当然一直線の右肩上がりに推移してきたわけではないのです。大なり小なりの下落を経て、上昇しています。
過去を見てみると、
「世界恐慌」「ブラックマンデー」「アジア通貨危機」「リーマンショック」「コロナショック」
このように、最近は10年ごとに大きな金融危機が発生しています。
それだけでなく、多少の下落はこれ以上に発生しているのです。
ということは、10年20年の期間で長期投資していくのであれば、こういった出来事には必ず当たるといっても過言ではありません。
そして、これはどの投資対象でも言えることで、安全資産と言われている国債市場においても、足元で歴史的な暴落が発生中です。
長期投資をしている人の中で「自分の資産価格が大きく下がる経験をすることがない」という人はまずいません。
しかし、人間は損失回避の傾向が強いため、「将来利益を得られるかもしれないが、目の前の損失が怖い」という意識を持ってしまい、長期投資を途中で挫折してしまうのです。
特に終わりが見えない金融危機の中では、不安な気持ちに押しつぶされそうになってしまいます。
自分の資産が減って平気な人はいないでしょう。
しかし、忘れていけないことは「人類は過去全ての金融危機を乗り越えてきた」ことです。
実際、米国株(S&P500)に20年前から100万円を投資していた場合、約551万円に増えています。
また、これは直近の20年だけでなく、過去どの20年間を切り取っても、100%の確率で元本割れせずに利益が出るという結果があります。
しかもその平均リターンは+234%(100万円が334万円)となっています。
長期投資を途中で挫折した人も、始めた頃は長期的にリターンを得れることを想定してるはずです。
確かに、未来はその時が来てみないと誰にもわかりません。
その金融危機が半年で終わるか、10年かかるかはわかりません。
しかし、人類がすべての金融危機を乗り越えてきていることは確かなことです。
すべてのことに終わりがあるように、金融危機にも終わる時は必ずきます。
だからこそ、目の前のことに一喜一憂せずに、我慢強く長期投資することを推奨します。