BLOG

HOME > 「サラリーマン」と「搾取」

「サラリーマン」と「搾取」

2022.11.19

総務省の「労働力調査」の統計によると、
2020年4月において、全労働力中に占める正社員比率は63.8%でした。
いわゆるサラリーマンが6割以上ということです。

そのサラリーマンが加入する厚生年金は、とんでもない「嘘」によって成り立っています。

これは「陰謀論」の類いでなく、年に一度送られてくる「ねんきん定期便」を見ればわかります。

そこには、「これまでの保険料納付額」と「これまでの加入実績に応じた年金額」の欄があり、
それを比較すると、納付総額を大きく超える年金が受け取れるように思えます。

ですが、あなたが国に納めた年金保険料のうち、個人負担分しか記載されていません。

社会保険料の半額は、会社が肩代わりして支払っています。
本来であれば、個人負担分と会社負担分を加えた倍の額を納付総額として記載されるべきです。

 

ではなぜ、そうしないのでしょうか?

 

なぜなら、厚生年金が支払損であることが分かってしまうからです。

簡単にお伝えすると、サラリーマンが収めた年金保険料のうち、
およそ半分が国によって「搾取」されているということです。
そのお金がどこに回せされるかというと、国民年金(基礎年金)の赤字補填等です。

このような仕組みがわかると、厚生労働省がなぜ厚生年金の適用拡大に必死になるかが見えます。

これは一般に、「パートなどの短時間労働者が国民年金よりも多い年金を受け取れるようになる」と
説明されますが、それに伴って保険料の会社負担が増えることについてはほとんど言及されません。

経営側からすると、社会保険料は人件費の一部です。
パートが厚生年金に加入すると、会社負担が増えた分だけ人件費予算は減ります。
厚生年金の拡大は、その会社の社員全員の賃金を抑制する大きな要因にもなり得るのです。

国からすると、厚生年金は会社が保険料を取り立ててくれるとてもおいしい制度。
消費税の増税は政治的にきわめて困難ですが、
社会保険料の料率は国会での審議を経ず厚生労働省の一存で決めることができます。

こうして社会保険料の負担は年々重くなり、
会社が賃上げしても、社員の手取りは反対に減っていく事態になりました。

とはいえ、社会保険料の料率を上げ続けることはできません。
そこで目をつけたのが、厚生年金をパートにまで拡大して保険料収入を増やすことです。

ほどんどのサラリーマンは、厚生年金の適用拡大をひとごとのように思いますが、
それは現役世代を犠牲にして、会社の利益を高齢者の年金に「流用」する巧妙な仕組みです。

これによってさらに会社負担が増え、全員の給与が下がることをきちんと説明しなければ、
公正な報道とは言えません。

日本の報道は、良い部分だけ伝えたり、恐怖心を煽ったりすることばかりなので、
このような重要な事実を伝えてほしいと願うばかりです。

一覧に戻る

TOP