日本は低成長・低所得から脱却しなければいけない
2023.2.6
日本の長期低迷の背景には、デフレマインドの定着に伴う需要不足の長期化があります。
当然のことですが、可処分所得が増えなければ支出は伸びず、支出が伸びなければ所得も増えません。
日本の家計は可処分所得が減少しており、消費を増やす余力がない状態です。
長期停滞の最大の要因は国際標準から逸脱した緊縮的な財政運営にあります。
成長に必要な財政支出がなされず、マクロ経済が支出と所得の両面で下押しされ続けてきました。
また企業においては、需要不足による国内市場の縮小を受けて設備投資を減らし海外進出を進めたが、
それがさらなる需要不足を招くこととなり、賃金も低迷が続いたのです。
日本が低成長・低所得から脱却するには、経済が加熱するまで積極的な金融・財政政策を続けなければいけません。これまで日本では、政府債務の拡大を理由に緊縮的な財政運営がなされてきました。
しかし、政府債務の裏には必ず資産があるのです。
事実として、政府純債務が拡大する中、民間純金融資産も増加しています。
そして足元では円安の恩恵もあり、政府純債務はコロナショック以前から20兆円近く減少しており、日本国債の格付け見直しも引き上げられている。
このように、日本で税制危機が生じる可能性は極めて低いです。
政府支出の制約となるのは英国のような経済の過熱であり、想定的に需要不足の続く日本では財政支出の余力は大きい。
このため、日本の低成長脱却に必要なのは高圧経済です。
高圧経済とは、金融政策と財政政策に特化して需要不足の状態から需要超過の状況に変えることです。
しかし、日本の場合、マクロ経済学的にはほぼ限界に近いところまで金融政策をやりつくしている。
そのため、財政政策をもう少し積極的にしなくてはいけません。
米国のように経済が過熱している国では、これ以上の財政に圧力をかけるとインフレが進むため注意が必要ですが、日本の場合は需要不足の状況にあるので、もう一段の財政政策が可能です。
ただ、日本は消費性向が低い国なので、給付金をばら撒いても消費に回りにくい。
今は感染症や戦争といった100年に一度起こるような事態に直面しています。
これを経済構造を変える契機と捉え、例えば、環境やデジタル分野、ウクライナ危機によって明らかとなった軍事、食料、エネルギー、戦略物資など安全保障分野の規制を緩和して、官主導による長期的視点で減税や補助を行い、需要を喚起すればよいのではないでしょうか。
こうした政策は成長力を強化するとともに、足元のエネルギーや食傷価格の高騰によるインフレ抑制にもつながります。
低所得脱却のためには、高圧経済による需要増加を賃上げにつなげる必要があります。
経済の過熱状態をしばらく容認して労働需要を積極的に作り出すほか、労働市場の流動性を高め、
民間部門に賃金上昇圧力をかけることも有効。
普通の国であれば高圧経済を行うと、経済は過熱して給与も上がります。
しかし、日本の場合は高圧経済だけでは賃金まで波及しません。
海外に比べてメンバーシップ型雇用が多いため労働市場の流動性が低く、
企業が賃上げしなくても従業員が辞めにくい仕組みになっているためです。
そのため、日本では高圧経済と労働市場改革の二本立てで経済の好循環を作り出す必要があります。
食料やエネルギーの自給率をあげ、生産拠点を国内回帰させるとともに、労働市場改革に取り組むことで、
物価上昇の抑制ができ、消費を促す環境が整うでしょう。
日本は平和な国ですが、危険な国でもあります。
その危険とは、知らないが故に情報操作されているということです。
賃金は上がらず、国民負担率は上がり続けるので、国民はどんどん貧しくなっています。
現に国民負担率は、世界1位です。
これらを知って自己防衛しないと、将来は今以上に苦しくなります。
世の中の動きを知ることは、自己防衛につながるのです。