遺産相続の順位と割合について
2022.8.14
相続が発生すると、遺された人のうち被相続人と一定の関係にある方が法定相続人となります。
相続が発生した際に、自分は法定相続人に該当するか、
また、自分の割合などは把握されていますでしょうか。
今回は、相続順位や割合について基本的な考えについてお伝えします。
【相続人の種類と順位】
人が亡くなると、その人の配偶者は常に相続人となります。
そして、被相続人の血族における一定範囲が相続人に該当します。
実際に相続人となるのは、被相続人の子ども、父母や祖父母、兄弟姉妹です。
これらの人全てが相続人となるわけではないので、順位が決められている点に注意が必要です。
▼相続人の第一順位
相続人の第一順位は、被相続人の配偶者と子どもです。
ちなみに、子どもは実子か養子かは問われません。
もし、子どもの方が先に亡くなっている場合は、
その人の子ども(被相続人からみた孫)が代襲相続人となります。
▼相続人の第二順位
亡くなった人に子どもがいなかった場合、
配偶者と亡くなった人の父母もしくは祖父母が法定相続人となります。
この場合、父母も祖父母も存命している場合は、父母が優先して相続人となります。
さらに実の父母と養父母がいる場合、どちらも相続人となります。
▼相続人の第三順位
亡くなった人に子どもと父母、祖父母もいない場合は、配偶者と亡くなった兄弟姉妹が法定相続人です。
この場合の兄弟姉妹も実子か養子かを問いません。
さらに兄弟姉妹の方が先に亡くなっている場合、兄弟姉妹の子供が代襲相続人となります。
【相続放棄した人がいる場合】
相続とは、亡くなった方の財産を相続することになり、
それにはプラスの財産もあればマイナスの財産(債務)もあります。
マイナス財産がプラス財産を上回る際、全ての相続権利を放棄することもできます。
相続放棄を行うには、相続が開始したことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければいけません。
また、相続放棄には、全ての相続権利を放棄する「相続放棄」と、
プラス財産の範囲内で債務を相続する「限定承認」の2種類があることも知っておきましょう。
限定承認も相続放棄と同様に家庭裁判所へ申述が必要ですが、相続放棄が単独で行えるのに対し、
限定承認は他の法定相続人が一緒に共同して申述する必要があります。
相続を放棄した場合は、その人は元から相続人ではないものとして扱われます。
そのため、相続放棄をした人に子どもがいた場合では、その子どもは代襲相続人となりません。
【相続人の相続割合】
相続人が相続する割合を法定相続分といい、こちらは民法の規定に定められています。
下記、図を参照ください。
※国税庁資料をもとに作成
【相続放棄をしていなくても相続できない場合】
自分で相続放棄の申述を行なっていないのにも関わらず、相続人として認められない場合があります。
それが、「相続人の欠格」及び「推定相続人の廃除」です。
▼相続の欠格
民法891条に規定されている通り、以下の欠格自由に該当する相続人に対しては、
手続きを行わなくても相続権が剥奪されます。
・被相続人が殺されたことを知っていたにも関わらず、知らせなかった人
・わざと相続における同一順位もしくは上の順位にいる人を死亡させた、
もしくは死亡させようとして、実刑判決を受けた人
・詐欺や脅迫によって、被相続人の遺言内容を撤回させようとした、もしくはさせた人
・被相続人の遺言書を偽造するなどした人
▼推定相続人の排除
以下の排除事由に該当するとして、
家庭裁判所によって相続権を剥奪される場合を推定相続人の排除と言います。
これは民法892条に規定されています。
・被相続人に対して虐待もしくは重大な屈辱を加えた
・相続人に著しい非行があった
ちなみに推定相続人とは、相続が開始した際に相続人になる人のことです。
そして、「相続の欠格」と「推定相続人の排除」は、相続放棄とは異なり、
相続権が剥奪された人に子どもがいた場合は、その子どもが代襲相続人となります。
【被相続人に配偶者がいない場合】
配偶者は常に相続人となりますが、亡くなった人に配偶者がいない場合は相続順位に基づき、
配偶者を除いた人が全て相続することになります。
以下をご参照ください。
※国税庁資料をもとに作成
相続を開始した際、その人に遺された人の一定範囲の人が法定相続人となります。
法定相続人が亡くなっている場合は、その子どもが代襲相続人となったり、
相続放棄を行なっている場合は、始めから相続人に見なされないなど、相続には様々な決まりがあります。
「相続人の欠格」や「推定相続人の排除」は知らない人も多いのではないでしょうか。
配偶者は常に相続人となりますが、亡くなった人に配偶者がいない場合は、
相続順位に応じて配偶者以外の人が100%相続する点も知っておきましょう。
相続は、争族となりやすいものです。
そのため、事前に遺言書なども活用して争いがないようにすることが大切です。