金投資の選択肢
2022.7.28
長期で安定的な資産形成を実現するためには、複数の投資対象に分散することが重要です。
伝統的な分散投資の選択肢としては、株式や債券、不動産が挙げられます。
それらとは異なる値動きをする資産が「金」です。
今回は、金投資のメリットや選択肢についてお伝えします。
【金投資のメリット・デメリット】
金の魅力は、希少性にあります。
金は人口的に作り出せないため、地球の中に埋まっている分しかありません。
その希少性から、金が発見されてから6000年の間、
その価値が失われたことがないと言われています。
株式や債券は企業の発行体が倒産してしまうと、無価値となる可能性があります。
しかし、金はその心配はないです。
金には発行体がないため、信用力の低下によって価値がなくなることはありません。
価値がなくならないことが最大のメリットとなります。
一方、デメリットとしては、金利や配当などの収入がない点です。
投資で得られる主な利益には、値上がりで得る「キャピタルゲイン」と
金利は配当で得る「インカムゲイン」の2つがあります。
株式なら配当、債券なら金利、不動産であれば家賃など、いずれもインカムゲインが得られるので、
長期で持てば持つほど、利益が積み上がる可能性が高くなります。
利回りが高い商品であれば、多少価格が下がっても、利回りの部分でカバーできます。
しかし、金は金利や配当がないため、価格が下がると損失に直結します。
インカムゲインがないということは、値上がりしない限り、
長期で持つメリットが得られにくいといえるかもしれません。
現在、日本は低金利の状態が続いていますが、米国を筆頭に海外では金利が上昇する傾向にあります。
金利が上昇すれば、値動きのリスクをとって金を持つより、
キャッシュで持っていた方が良いと考える投資家もいるでしょう。
相対的に金のデメリットが際立つことにもなるため、金価格の下落の要因となり得ます。
【有事の金、存在感高まる】
2022年に入り、金価格は上昇傾向にありました。
その理由の一つが、ウクライナ情勢です。
「有事の金」と言われるほど、有事の際には金価格は上昇する傾向があります。
政治・経済の先行きが怪しくなると、安全資産としての金の価値が高まり、
多くの資金が金に逃げ込むわけです。その結果、金価格は上昇します。
金価格は実際に、3月上旬には過去最高値に迫る1トロイオンス=2050ドル台に達しました。
アメリカが段階的に利上げをするなど、足元は金利上昇局面でもあります。
金利上昇局面では、金利の付かない金は相対的に下落するといわれています。
3月よりは下がったものの、それでも金価格は高値圏にとどまっています。
一般的に金はドル建てになるので、日本円で買う場合はドルと円の為替動向に左右されます。
足元では30年ぶりの円安が進んでいるため、円建ての金価格は高値更新が続いています。
アメリカの利上げによってインフレの抑制を目指していますが、
今のところインフレ退治には成功しておりません。
一方で米国の株式市場は、大きな調整局面を迎えています。
このまま景気後退とインフレが同時に起こるスタグフレーションになると、
金投資の魅力は再び高まることになります。
【金投資の選択肢】
実際に金投資をする際にはいくつか選択肢があります。
①金地金・金貨
金の現物を購入し、資産として保有する方法です。
日本では、トロイオンスではなくグラム単位で購入します。
比較的少額から購入することも可能ですが、
一括購入する際は、ある程度まとまった資金が必要です。
購入後は、自分で保管する必要があるため、盗難・紛失のリスクがあります。
貸金庫などで保管する場合、保管コストがかかる点もデメリットとなるでしょう。
②純金積み立て
純金積み立てとは、毎月一定額を積み立てて金を購入していく方法です。
積み立てを行っている企業が、金を保管してくれます。
少額で投資できることや、保管の手間がかからない点がメリットです。
また、純金積み立ては購入するタイミングを分散するので、
一度に高値で買ってしまうリスクを防ぐこともできます。
③投資信託
金に投資する投資信託もあります。
投資信託の基準価値が金価格に連動するため、実質的に金に投資しているのと同じです。
投資信託は銀行や証券会社で購入できるので、他に投資している株や債券と同じように管理できます。
ただし、購入には手数料が発生します。
④金ETF
金ETFとは金価格に連動する上場投資信託のことです。証券会社で購入できます。
購入手数料がなく、信託報酬も安いため、低コストで手間なく購入することが可能です。
上場しているため、株式のようにタイムリーな売買も可能です。
中には投資資金を金の現物に交換できる金ETFもあります。
金は、比較的に流動性が高い投資です。
長期的に保有するのであれば、分散投資の一つとしても良いと考えます。
金投資を行う際は、コストを考慮して選択することが重要です。