人気になりつつある「アンティークコイン」
2022.11.24
数年前から富裕層の間で「アンティークコイン投資」を始める方が増えました。
今から100年以上前に発行されたアンティークコインは、世界中にコレクターが存在します。
その影響もあり、投資対象としても注目されるようになりました。
そもそも「アンティークコイン投資」とは、
古い時代に発行された貴重なコインを購入して、購入価格よりも高く売却する投資手法です。
主に知的富裕層から好まれており、発行枚数や残存枚数の少ないコインほど高い価格で取引されています。
アンティークコインは、大きく分けると3パターンです。
◉収集型
概要:希少価値が高く、世界中にコレクターが存在するコイン
価値:プレミア価値に連動
成長性の要素:希少性や需要
入手難易度:コインによって異なる
コインの事例:モルガンの円形銀貨、イギリス王室に関連するコイン
◉地金型
概要:金を含有しているコイン
価値:金価格に連動
成長性の要素:金価格
入手難易度:比較的容易
コインの事例:カナダの地金型金貨、オーストラリアの地金型金貨
◉ハイブリット型
概要:収集型とハイブリット型の特徴を併せ持つコイン
価値:プレミア価値と金価格に連動
成長性の要素:希少性、需要、金価格
入手難易度:コインによって異なる
コインの事例:クルーガーランド金貨、ナポレオンが発行した金貨
アンティークコインと呼ばれるのは、一般的に100年前に発行されたものですが、
現在ではコインを対象にした全てのコインを「アンティークコイン投資」と呼びます。
アンティークコインはいくつもの種類がありますが、特にイギリスのものは希少価値が高いです。
イギリスでアンティークコインを扱う老舗会社、スタンレーギボンズ社によると、アンティークコインの価値は2000年頃から伸びており、2009年にはイギリスの不動産価値指数を超えました。
その後は一時的に金の価格を下回りますが、他の金融資産の価値が下落した時期においても、
アンティークコインの価格は安定して上昇します。
では、実際にどれくらい上昇しているか見てみましょう。
◉イギリス ビクトリア オールドヘッド プルーフ10枚セット
出典:KINBAI
<価格>
2007年:120万円
2017年:4000万円
◉1839年イギリスヴィクトリア女王即位記念「ウナとライオン」5ポンド
出典:GALLERIA
<価格>
2011年:400〜500万円
2018年:5000万円〜6000万円
◉1914年 中国 袁世凱 開国記念 UNC
出典:Yahoo!オークション
<価格>
2007年:32万円
2017年:180万円
なかでも「ウナとライオン」の高騰事例は有名であり、2021年8月のオークションでは5ポンド金貨が約1.5億円で落札されました。これら以外にも、数ヶ月から数年で価値が数倍に伸びたアンティークコインはいくつも存在します。
次に、アンティークコインのメリットとデメリットについてもお伝えします。
【メリット】
①少ない資産から始められる
アンティークコインの安いものでは、数百円〜数千円から始められます。
高額なコインも人気がありますが、購入者の半数は100万円以下のコインを購入しています。
また、最近ではアンティークコインを共同保有できるサービスも登場していますので、
手軽に投資することが可能となっています。
②経済ショックや金融危機に強い
アンティークコインは、株式などの金融商品に比べると経済ショックや金融危機に強い傾向があります。
2008年のリーマンショック時には、日経平均株価が40%ほど下落しました。
しかし、同時期のアンティークコインは安定上昇を続けており、株式とは異なる値動きをしています。
2019年末からのコロナショック以降も、貴重なアンティークコインは高値で取引されてきました。
インフレにも強い特徴があるので、リスク分散効果が期待できます。
③忙しい人でも続けやすい
情報収集や分析の手間が省ける点も魅力の一つです。
株式投資では、株価や経済ニュースをこまめにチェックしなければなりません。
不動産投資では、入居者の募集や管理といった手間が発生します。
その点、アンティークコインは相場の確認だけで始めることができ、他と比べると大きな手間はかかりません。
価値が上がりそうなコインを購入すれば、あとは売り時が来るまで待つだけです。
「10年後に売る」など決めておけば、売却のタイミングで悩むこともないでしょう。
【デメリット】
①取引に手間がかかる
金などの貴金属や株式などの投資商品に比べると、アンティークコインの市場が整備されていません。
購入場所や売却場所が限られており、コインによっては取引に手間がかかります。
ただし、最近では購入と売却を一本化できるサービスもあります。
年々、市場が整備されているので将来はリアルタイムで手軽に取引できるようになるでしょう。
②詐欺の被害にあう可能性がある
アンティークコインには偽物があり、投資詐欺も起こり得るため、
必ず信頼できる販売元を探さないといけません。
初心者がネットオークションなどで購入する際には特に注意です。
偽物のコインに不安を感じる人は、専用の保険が付帯されている業者など、
安心して取引ができる販売元を探しましょう。
③情報収集や分析が困難
アンティークコインは取り扱っている店舗やサービスが少ないため、
情報収集や分析が難しい傾向にあります。
インターネットでも細かい情報が獲得できないないケースもあるでしょう。
また、アンティークコインの情報は外国語で記載されているケースが多々。
銘柄によっては英語などの語学力も必要となります。
アンティークコイン投資を始める際は、まず安心できるコイン業者を見つけましょう。
コイン業者は保証が充実しており、購入したコインが万が一偽物であれば同じ価格で引き取ってくれます。
その他、価格基準が明確であったり、売却までサポートしてくれる業者であれば安心につながります。
業者を決めることも大切ですが、あくまでも投資なので、投資予算をあらかじめ決めることも重要です。
アンティークコインは必ず価値が上がるものではなく、銘柄によっては損をするリスクがあります。
他の金融商品も同じですが、借金をしてまで投資すべきではありません。
だからこそ、明確な投資予算を決めることから始めましょう。
投資予算を決めることで、投資対象をはっきり絞ることができます。
他の投資で得た利益などでアンティークコインを買うのも良いでしょう。
インフレに強いアンティークコインを持つことで、リスク分散効果が期待できます。