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「金」の価値が上がり続けている理由とは?

2024.10.10

「金」は近年、大幅に値上がりを続けています。
投資対象としている方も多いのではないでしょうか?

金の国際価格は1980年代以降、長期低迷が続いていましたが、
2000年に入って急に上昇し始め、現在まで右肩上がりの傾向が続いています。

日本国内の場合、金の1グラム当たり平均小売価格の推移を見ると、
2004年4月には1528円でしたが、2024年4月には1万2720円と、なんと20年で8倍以上にもなっています。

なぜ金の価格は、ここまで高騰しているのでしょうか?

高騰している理由①「金の性質」
金は、特有の金色の輝きを放つ「貴金属」として有史以来珍重されており、仏教でも「五宝」「七宝」の一つに数えられています。
純金(金の含有率99.9%以上)は化学反応に強く、基本的に錆びたり、溶けたりしません。
ダイヤモンドなどと異なり、火災にも強く、文字通り「永遠の輝き」を保つことができます。
そのため、資産として長期保管に適していると言えます。

一方で、とても柔らかいので「金箔」のように加工しやすく、ネックレスやイヤリングといった装飾品、美術工芸品などとして愛好されてきました。近年では変質しにくく、電気伝導に優れているため半導体の接続材料に多用されるなど、工業製品の材料としても一定の需要があります。そうした性質から、金には不動の資産価値があると言えます。

金は、円や米ドル、ユーロといった通貨と違い、世界のどこでも通用する「無国籍資産」。
少量でも価値があるため、宝石などと同様に持ち運びしやすい動産の筆頭でもあります。
「不動産」とは対極のメリットがあり、さらに世界市場で一定の取引量があるので流動性が高く、売買しやすいのも長所の一つです。

そして何より、希少性が高いという強みもあります。
ちなみに金のこれまでの採掘量は推定17万〜19万と言われています。
現在の採掘可能埋蔵量は推定約5万トンで、天然資源としては近い将来、枯渇の懸念もあります。
現在、金の需要の約3分の1は電子機器などのリサイクルで賄われていますが、金の流通量は今後増えない可能性が高く、発行数量に上限があるビットコインなどの「デジタル資産」とともに、価値が目減りしにくい無国籍資産と捉えているようです。

高騰している理由②「経済危機」
金は、無国籍資産としての価値が安定しているため、国際的な経済危機の発生や、政情不安の高まりで、ニーズが拡大、値上がりする性質があります。

例えば、新型コロナウイルスのパンデミック、ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルとパレスチナの軍事衝突などが立て続けに起こったことで、金の価格も上昇しています。
コロナのロックダウン等で経済活動が悪化し、国は国民にお金を配るために紙幣をたくさん刷りました。
紙幣を増やすことは、紙幣自体の価値を下げることにもなります。
紙幣価値が下がることを懸念した人々は、価値が上がり続ける金を買う動きをとったことも金の価格を上げることにつながっています。
さらに米国との対立を深めるロシアや中国は経済防衛のため、ドルの保有量を減らす代わりに金の保有量を増やしています。

特に中国では、政治や経済の先行き不安から、富裕層も金を積極的に購入し、2023年には中国の金購入量が前年比30%増となるなど、世界の金市場を中国が支えているとも言われてます。


出典:田中貴金属工業「純金価格の推移」

高騰している理由③「逆相関関係」
インフレや低金利政策で、通貨の価値が相対的に下落する局面でも、金の価格は上がります。
それに、株や米ドルの価値が低下すると、シーソーのように金の価格が上昇するという「逆相関関係」が見られます。

例えば、経済危機で株が売られると、売却で得られた資金が安全な資産である金に流れます。
反対に、金の国際価格は2013〜18年に大きく下がりました。
ただし、金の価格は、さまざまなファクターによって決まるので、一筋縄ではいきません。
一般に、ドル高の局面では下がる傾向にありますが、日本国内の金価格は、海外のドル建て金価格のベースとなるため、為替相場の「円安ドル高」の影響を受けて上がってきた側面があります。

これらの要因から金は近年高騰していると考えられています。
単に金価格は上がるものと考えるだけでなく、上がる背景についても知ることで今後の動きも想定できるのではないでしょうか。

投資に詳しい方は、金は株や不動産などと違って資産運用で複利を生まないので、投資する価値があるか疑問を抱くかもしれません。
確かに、金への投資は、「インカムゲイン」がなく、期待できるのは「キャピタルゲイン」のみですが、
ご自身の資産のポートフォリオは、インカムゲインとキャピタルゲインを併せた利回りを想定することも必要です。

金は、長期で資産を増やしたい方にとって良い金融商品の一つでしょう。

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