学資保険だけではインフレ負けしてしまう
2022.8.2
教育費の上昇に加え、世界的なインフレ傾向にある現在、
学資保険だけでは教育費を用意できない可能性が高いでしょう。
今回は、インフレや教育費の高騰に対応するために、
学資保険ではなく積立投資を採用することのメリットについてお伝えしてまいります。
【世界的インフレと高騰する教育費】
現在は、世界的にインフレ傾向であり、さまざまな物価上昇が続いています。
インフレとは、物価が上がり現金の価値が下がることです。
反対にデフレとは、物価が下がり、現金の価値が上がることを言います。
そんな昨今のインフレ傾向とは関係なく近年、
上がり続けている費用があります。それが子どもの教育費です。
総務省「家計調査」「人口推計」「住民基本台帳」によると、
子ども1人当たりの年間教育費の推移を見ると、
過去45年間で大幅に上昇していることが記されています。
子ども1人当たりの年間教育費は、1970年は24万円だったのに対して、
2015年時点では、37.1万円に上昇しております。
日本では、30年以上平均年収は上がっていないですが、
教育費は上がり続けているので、家計への負担が大きくなるばかりです。
実際、大学の授業料は私立大学だけでなく、国公立大学も大きく上昇しています。
今後も教育費はさらに上昇する可能性があるため、
子供の将来に備えて準備をしなければなりません。
【固定利率の学資保険はインフレ負けする】
教育費を準備するための代表的な手段として、
これまでは学資保険を利用することが一般的でした。
学資保険とは、将来的に子どもへかかる教育資金を貯める目的として作られた保険商品です。
学資保険は生命保険会社が販売している商品で、
長期にわたって払い込むお金を、生命保険会社が運用して増やす仕組みとなっています。
学資保険を契約して保険料を支払うと、「満期金」や「お祝い金」を受け取ることが可能です。
お祝い金とは、小学校や中学校、高校への進学タイミングで支払われ、
満期金は大学入学時に支払われることが一般的でしょう。
そんな学資保険は、返戻率が固定されており、
保険会社が学資保険の契約時に約束する「予定利率」が適用されました。
その予定利率はかつて、120%程度の高い返戻率となっていました。
もし、300万払い込んだ場合、360万円になって受け取ることができるということです。
しかし、現在は返戻率が高くても105%前後となっているので、ほとんど増やせない状態です。
低金利で銀行預金ではお金は増えないのに教育費は高騰しており、
学資保険を利用しても現在の返戻率では追いつかず、
さらに世の中全体でインフレ傾向が強まっているので、家計の負担は増える一方です。
高騰していく学費を学資保険のみで準備することは、ますます厳しくなると考えます。
【教育資金の準備は、積立投資を採用】
子どもの教育資金を学資保険のみで準備するのが難しい理由は、返戻率の低さだけではありません。
学資保険を契約すると、積立中にはお金を引き出すことができないことや、
途中解約すると元本割れするリスクがあります。
学資保険は基本的に積立中にお金を引き出すことができないため、急な出費に対応できません。
どうしてもお金を引き出したい時は学資保険を解約しなければなりませんが、
学資保険を解約すると、払い込んでいた金額よりも返戻金が少なくなる場合が多いです。
そこで、積立投資を採用することで、より柔軟に教育資金を準備しやすくなるなるかもしれません。
まず学資保険の契約には年齢制限があります。
出生前から7歳までというように契約できる期間が限られているのです。
それに対して積立は、基本的に年齢制限がありません。
また、保険料を継続的に払い込むことが難しくなった場合でも積立投資の方が良いです。
学資保険は、保険料の払い込みができないと失効し、失効後には契約を復活できなくなる場合があります。
それに対して積立投資は、たとえ新規の積立が難しくなっても、それまでの積立金の運用は継続されます。
学資保険より積立投資の方が柔軟に対応できるため、メリットは多くなります。
ただし、学資保険は親権者の生命保障などの特約、
子どもの入院や通院時の補償などの特約が追加できる場合があることは理解しておきましょう。
学資保険と積立投資を併用されることも良いと思いますが、
併用することで月々の家計負担は多ります。
積立投資を10年以上、継続することができれば、
元本割れするリスクは非常に少なくなります。
そして、学資保険より教育資金を増やすことができます。
保険や保障が欲しいのであれば、必要なものだけ加入する。
保険と投資は一緒でなく、分けて考えないといけません。
学資保険は、高い手数料がかかりますので・・・。
長期で教育資金を考えているのであれば、
学資保険より積立投資を採用することが良いでしょう。