60代の貯金平均額と格差
2023.6.7
還暦が近づくと「老後資金」や「老後に必要な生活費」を意識すると思います。
数年前に「老後資金2000万円問題」で世間を騒がせていましたが、
実際のところ還暦を迎えた60代の貯金平均額はどのくらいでしょうか。
そこで今回は、プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命(PGF生命)が調査した、
還暦人における貯蓄データより、60代の貯金についてお伝えしてまいります。
「現段階の貯蓄金額の平均」をご覧ください。
出典:PGF生命「2023年の還暦人に関する調査」より
こちらの調査では還暦人の2023年の平均貯金額は3454万円となりました。
前年と比較すると332万円の増加傾向となっており、近年の値上げラッシュや不安定な社会情勢の影響から、将来への不安感が強まったことで、貯蓄する意識が高まっているのでしょう。
この貯蓄平均額だけを見ると60代の多くが「老後資金2000万円」を達成していると思ってしまいますが、金額別データを見るとそうでもなさそうです。
出典:PGF生命「2023年の還暦人に関する調査」より
この調査によると、2000万円以上の貯蓄がある人は全体の3割で、貯蓄が300万円未満のひとは約4割と、貯蓄額の格差が広がっていることが分かります。
実際、老後に向けて十分な貯蓄をしている人よりも貯蓄ができていない人の方が多いのです。
総務省の調査データによると、2004年以降、高齢就業者数は18年連続で増加し続けており、2021年には過去最多の909万人になっています。
高齢就業者が増加している理由は様々ですが、その一つとして、老後資金が十分でないため還暦を迎えてもなお「働ける今は働こう」という考えのかたが多いでしょう。
貯蓄額を知っておく必要はありますが、老後生活で必要な最低限の金額も知っておいた方が良いです。
出典:PGF生命「2023年の還暦人に関する調査」より
同調査では、「生活費として最低限必要だと思う金額(ひと月あたり)」に対し「平均19万円」という結果になりました。前年より2718円増加しています。
近年続く物価の高騰や値上げから、家計への負担を考慮し、最低限必要な金額が増えていると考えられます。
では、最低限必要な生活費を想定した「19万円」は、年金受給だけでまかなうことができるのでしょうか?
厚生労働省年金局が発表した調査データによると、60歳代以降の厚生年金保険と国民年金の平均受給額は下記の結果となりました。
出典:厚生労働省年金局 令和3年度厚生年金保険・国民年金事業での概況
公務員や会社員など、厚生年金受給者の場合は月額平均で約14万3000円の年金を受給できますが、最低限必要な生活費を想定した「19万円」には達していないことが分かります。
さらにフリーランスといった国民年金のみの受給者の場合は、平均で約5万6000円ほどしか受給できず、最低限必要な生活費を想定した「19万円」からは、さらに遠のく受給額です。
受給できる年金額と最低限必要な生活費を想定して、不足する費用は「老後の貯蓄から補填」や「就労して補う」ことが一般的でしょう。
「老後の生活が不安」「老後資金の具体的な目安がわからない」という方は、平均的な貯蓄額の割合を参考に、自身の年金額と老後生活費をシミュレーションして、貯蓄額の目安を検討してみてください。
老後の生活に不安が募る方は、今のうちに必ず対策を打っておくことを強くおすすめします!