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50代で資産を上手く取り崩す方法

2022.8.26

資産形成を考える方は、多くなりましたが、

資産を取り崩すことについて考えている方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。

 

50代の方のなかには、保有資産をどう取り崩していくべきかを考えるのは、

まだ早いと思っている方が多いと思います。

しかし「資産形成」の最終コーナーに近づく50代後半にもなると、

資産の取り崩しについて、検討を始める良いタイミングです。

何しろ「資産活用」の時期が間近に迫ってきているのですから。

 

 

そこで今回は、50代の資産の取り崩し方についてお伝えしてまいります。

 

 

最初に「資産形成」と「資産活用」について簡単に触れておきます。
「資産形成」は最近よく使われる言葉ですが、資産を創り上げる手段や方法のことです。

生涯にわたるお金との向き合い方を登山に例えると「山を登る局面」と言えます。
これに対して「資産活用」は、出来上がった資産を使いながら
退職後の生活を過ごすためのものですので、登山でみれば「下山の局面」です。

50代となると、もう山の頂上に近いところまで登ってきています。
そこまで来れば山をどう下りるかを考えても良いはずです。
むしろ、登山ならば山を登る前に下山ルートを事前に確認しますよね。
山の一番高いところを目指していてもそこに崖があるだけなら、
登山途中で下山ルートへとつながる道を選ぶべきです。

生涯にわたるお金との向き合い方のなかの下山方法、
すなわち「資産活用」の要点を理解しておく必要があります。

 

【資産の課税形態で考えるアセット・アロケーション】

「資産形成」の手段としてよく出てくるのは、NISA(少額投資非課税制度)、
つみたてNISA、企業型DC(企業型確定拠出年金)、iDeCo(個人型確定拠出型年金)など、
いわゆる非課税投資の制度だと思います。
なかでもDC系の口座(企業型DCやiDeCo)は本人が拠出する資金は
所得から控除されるため、所得税減税のメリットも受けられます。
特にiDeCoは自分が拠出した分は確定申告することで所得税が還付されますので、
よりメリットを実感できると思います。これらDC系の口座は「資産形成」の
メリットが相対的に大きい口座として紹介されています。

しかし、DC系の口座から資金を引き出す際には、その額が所得税の対象となることに注意が必要です。
一括で引き出す際には退職所得控除の対象となりますし、
年金で受け取れば公的年金等控除の対象となるので、高い税優遇が受けられます。
それでもこれらの引出額は、投資による利益の部分だけでなく、
元本の引き出し部分についても「課税所得」になることを忘れてはなりません。
これに対してNISAは所得税を支払った後の資金で運用していることから、
引き出す際に課税所得とはなりません。そのため所得税を気にする必要はないです。

「資産活用」の時代となり初めて、課税所得かどうかの意味を実感できるので、それを念頭に置き、
50代のうちにNISA系の口座とDC系の口座の資産バランスを考えることが大切ではないでしょうか。

「資産形成」の時代により有利なDC系の口座と、「資産活用」の時代に気楽に引き出せるNISA系の口座、どちらの口座でどれくらいの資産を創り上げるべきかを最終コーナーで調整することが可能です。
これはアセット・アロケーションのアイデアの1つです。

資産の種類でバランスを考えるアセット・アロケーションではなく、
資産の課税形態でどの口座に資産を置いておくかを考えるアセット・アロケーションです。

(アセット・アロケーション:投資家のリスク許容度、目標、時間軸に応じて、
ポートフォリオ内の各資産の割合を調整することにより、リスクとリターンのバランスを取ろうとする投資戦略)

 

 

【取り崩しは資産運用を悪化させない率で計算】

2つ目のポイントは資産の取り崩し方です。
多くの日本人は、「退職したら年金以外に毎月10万円」といった定額の引き出しを考えます。
これは資産の「定額引き出し」という方法ですが、資産が現金・預金だけの時代の取り崩し方法です。
最初から「額」を決めておくことで、使いすぎないための上限ルールを作るといったところです。

しかし、今や50代のうち24.7%の世帯が有価証券を保有していますし、
退職金で少しでも運用をしてみようと考えている方もいらっしゃるでしょう。
そのような現状を踏まえ、現金・預金時代の取り崩し方法ではなく、
運用資産時代の取り崩し方法を理解しておく必要があります。

保有する資産が運用資産の場合には、「運用しながら資産を引き出す」ことになるので、
引き出した資産の使い過ぎを警戒する「定額引き出し」のルールでなく、
残った資産の運用成果を悪化させない「率」で考える引出ルールが必要となります。

例えば、価格が下落しているときにも相変わらず「定額」の資金を引き出せば、
元本が想定以上に減少することになります。あとに価格が上昇することになっても
元本が少なくなることで、回復力が弱くなりかねません。
これを繰り返せば、最終的に残すべき資産が想定を下回ることもあり得ます。

仮に、ポートフォリオを創り、20年間で年率3%の収益率目標を確保できたとします。
それでも取り崩し方法を間違えると、20年後の元本が想定を大きく下回ることが起き得るのです。
専門用語ではこれを「収益率配列のリスク」と呼びます。

このリスクを回避する方法が、引出額を事前に決めた「率」で計算する方法です。
残高に対する「率」を使うと、価格が上昇して残高が増えたときには引出額が増え、
価格が下落して残高が減った時期には引出額を減らすことができます。
これにより元本の過剰な減少を抑えることができるのです。

 

こうした方法を知っているだけで、資産活用時代でもまだ運用を続けられるという視点も見えてきます。
これにより50代でも、あと20~30年は運用期間があることを知ることができます。
知ることが増えれば増えるほど、自己防衛につながるのです。

 

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