2022年10月に社会保険適用拡大
2022.9.14
年金制度改正法の成立により、2022年10月から社会保険の適用範囲が拡大となります。
少なくとも影響の出るパート・アルバイトで働く人の中には、不安に思う方も多いと思います。
社会保険の適用拡大について事前に知っておけば、少しは安心できるものです。
そこで今回は、社会保険の適用拡大についてお伝えしてまいります。
【社会保険適用拡大の内容について】
実は社会保険の適用拡大は、2016年からすでに開始していました。
現在、従業員が常時501人以上の規模の企業は、
要件を満たす従業員を社会保険に加入させる義務があります。
出典:日本年金機構「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大」より
この拡大によって変更があった部分は、以下2点です。
・企業規模
・雇用期間
今回の適応拡大では、比較的小さな規模の企業も対象となります。
対象となる企業は、従業員が常時101人以上の規模の企業です。
それだけでなく、2024年10月からは対象になる企業の規模が従業員51人以上となるため、
今回は該当していなくても、2年後に当てはまる場合の方は注意が必要です。
また、企業規模に加えて雇用期間も変更となっております。
現行では、継続して1年以上雇用される見込みのあることが、社会保険医に加入される要件の一つです。
今後は、雇用される見込みが継続して2ヶ月以上であることに変更されるのです。
社会保険に加入すると、給与の手取りが減ることにつながります。
これにより、社会保険の拡大をマイナスに捉える方が多くなるはずです。
【パート・アルバイト従業員が社会保険に加入するメリット】
新たに保険加入となるため、手取りが減る分、
これまで受けられなかったものが受けられるようになります。
・厚生年金保険に加入するため、厚生年金が上乗せされて将来の年金受給額が増える
・けがや病気で障害状態になった場合、障害厚生年金が受給できる
・万が一亡くなった場合、遺族が遺族厚生年金を受給できる
・傷病手当金が受給できる
・出産手当金が受給できる
【社会保険適用拡大で増える年金受給額と保険料】
社会保険に加入すると、年金保険料を支払わなければなりませんが、
前述したように年金受給額が増えるメリットがあります。
では、実際にどれだけ年金受給額が増え、どれだけ保険料がかかるのでしょうか。
厚生労働省の「社会保険適用拡大特設サイト」に目安が記載されています。
出典:厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」より
わかりやすくするために一つシミュレーションをします。
《例》
・女性
・年間給与120万円
・今後社会保険に加入する期間は10年
なお年金を受給する期間は、厚生労働省が発表している2021年の女性の平均寿命87.57歳から試算
▼増える年金受給額
・5000円(月に増える年金受給額)✖️12ヶ月=6万円(年間に増える年金受給額)
・6万円✖️23年(年金を受給する65歳〜88歳までの期間)=138万円
社会保険の加入によって増える年金受給額は、約138万円となります。
▼支払う年金保険料
・9000円(月に支払う年金保険料)✖️12ヶ月=10万8000円(年間に支払う年金保険料)
・10万8000円✖️10年(社会保険の加入期間)=108万円
今後10年間社会保険に加入した場合、支払う年金保険料の総額は108万円となります。
人によってライフプランは異なります。
今回のシミュレーションを参考に、社会保険に加入するか、働き方を変えていくか、
ご自身にとって良い選択を検討してみてください。
また、今回のシミュレーションは、あくまでも目安です。
正確な年金受給額を知りたい場合は、日本年金機構の「ねんきんネット」で確認できます。
社会保険適用拡大により、給与の手取りが減る方にとって今後の働き方の検討や、
支出の見直しが必要となります。
変更となる前にしっかりと考え、対策をしていきましょう。