預金だけでは危ない
2022.10.2
20年前と今を比べると、テクノロジーの進化でお金の形が変わり、使い方も変わっています。
最近では、Web3への移行など、急速に暮らしや社会が変わっている中、
懸念されるのが日本の金融リテラシーの低さです。
日本は残念ながら金融教育やIT化など、世界と比べると遅れをとっています。
このままでは世界との差が縮まることは難しく、差はますます開いてしまうとも言われているのです。
その背景としてあるのが、「お金のことを堂々と話すことがタブー」という文化です。
海外のように家族や友達とお金についてオープンに話す習慣は、日本にはありません。
日本には、お金のことをちゃんと知りたいと思う人も多いのですが、
どこかそれをオープンにできない空気感があります。
多くの方が、金融教育を受ける機会はなかったことでしょう。
ようやく、2022年になって金融教育が導入されたぐらいです。
実際、金融庁の調査では、金融教育を行うべきと思う人は67.2%いるのに対し、
実際受けたことがあると回答した人は8.5%しかいませんでした。
※金融広報中央委員会が実施した「金融リテラシー調査2019年」より
これでは金融リテラシーが上がるはずがありませんよね。
もう一つ、日本の金融リテラシーの遅れには、太平洋戦争も影響しています。
戦争中、こんな標語があったのはご存知でしょうか。
「嬉しいな僕の貯金が弾になる」。
これは戦費のために、貯金をすることを奨励する標語です。
貯金したお金は国に差し出し、戦争に使われたのです。
今では考えられないことですが、当時はそれが当たり前となっていました。
その後、戦争が終わっても、昔はインターネットもなく、情報は制限されていました。
一般市民はまだ自由に学べる情報もなかったため、
お金については戦時中の貯金をよしとする考えのまま来てしまったのです。
それを証明するのが日本の家計の預金率の高さです。
現在、家庭の資産に占める預金の割合は先進国の中で日本が最も高い。
日本は資産の50%以上を現金・預金が占めているのに対し、ユーロエリアは34.3%、アメリカは13.3%。
株式投資で見ると、日本は約10%しかありませんが、ユーロエリアは18.2%、アメリカは37.8%です。
日本は、先進国と比べて「投資より貯金を重視」する考えが明らかに強いのです。
※2021年8月に日本銀行調査統計局が発表した「資産循環の日米欧比較」より
少しお金のことを勉強すると分かることですが、
このように預金という形で自国の通貨に資産が偏ることが、実はリスクでもあります。
ジンバブエの例もあるようにハイパーインフレに入った場合、自国通貨資産がないのは非常に危険です。
また、預金で利息がつかない日本ではインフレによって、
預金をしているのにも関わらず、資産価値がどんどん減ってしまっています。
預金を信奉しすぎるのも金融教育の遅れの表れのひとつ。
お金のスキルがないために、お金について考えることが面倒で、思考が停止している状態だと言えます。
金融教育が遅れており、金融リテラシが低いからといって、
お金で失敗しても誰も責任を取ってくれません。
自分の人生を豊かにするのも、貧しくするのも自己責任となり、お金のスキル次第です。
これから始まる変革の時代は、「お金についてよくわからない人」を狙って、
さらに詐欺や悪徳な金融商品が増えてくることも予想できます。
金融庁もパーソナルファイナンスを学ぶ必要性について、
大人だけでなく小中高生に向けて幅広く訴えています。
今は、「お金のことを口にするのは恥ずかしい」と言っている場合ではないのです。
インターネットがある以上、お金についてたくさん学べる場があります。
いち早く、知らずに損をしている状態を抜け出すことができれば、
自分自身の人生を豊かにすることにつながるでしょう。