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金利と債券価格の関係

2022.8.1

債券は比較的値動きが安定するので、大きなリスクを取りたくない人でも投資しやすい資産です。
社債や債券ファンドに投資をする際に知っておきたいのは、
金利の変動が重要な要素の一つであることです。

世界的に金利上昇局面にある今、どのような考えを持って債券投資をするべきでしょうか。
今回は、金利と債券価格の関係についてお伝えします。

 

【利上げ局面を迎えたアメリカ市場】
アメリカでは、金融政策の正常化を目的に2022年3月から利上げを行いました。
6月には0.75%の大幅利上げを実施し、7月にも同じく0.75%利上げが見込まれています。
今後もしばらく利上げを継続する可能性が高いでしょう。

利上げは一般的に加熱気味になっている景気を冷やす役割があります。
2000年代初頭のITバブル崩壊、2009年のリーマンショック、2020年のコロナショックなど、
この20年間で色々な金融危機がありました。
金融危機とは、簡単にいうと経済でお金の流れがストップしてしまうことです。
そこから回復し、経済を正常化するためには、政府主導で景気を刺激する必要があります。
その代表的な手段の一つが利下げです。
金利を低くし、市場にお金が行き渡るようにするのです。

コロナショックから回復を目指し、世界各国の中央銀行は政策金利の利下げを実施して、
市場にお金を行き渡らせました。その効果により、金融市場は立ち直りました。
その後、新型コロナの感染拡大で製造業などのサプライチェーンが滞っていたことに加え、
ウクライナ情勢の緊迫化によって、急激にインフレが加速。
株式市場にも過熱感が滞っていたことから、
米国の中央銀行であるFRBは2022年3月に利上げをスタートしました。

債券は株式と同様に、伝統的な投資対象資産とみなされています。
債券ファンドやバランス型ファンドのような投資信託など、
何らかの形で投資している人も少なくないです。

債券は、現在のような金利上昇局面において価格が下落しやすいという特徴を持っており、
その点を心配している投資家もいるかもしれません。

 

【金利と債券価格の関係】
債券とは国や政府機関、企業、地方自治体などが資金調達するために発行する有価証券です。
債券は発行する主体によって、以下のように分類できます。

▼公共債
・国際:国が発行する最も信用度が高い債券
・地方債:都道府県や市町村などの地方公共団体が発行する債券
・政府関係機関債:独立行政法人や特殊会社などが特別な法律に基づいて発行する債券
・地方公共債:地方公共団体が設立した公社が発行する債券

▼民間債
・金融債:特定の金融機関が特別な法律に基づいて発行する債券
・事業債:民間企業が発行する債券

▼外債
・外債:外国の政府や企業さ発行する債券

債券には利率が設定されており、定期的に得られる利息が収入となります。
例えば額面が100万円で金利が1%、5年満期の債券を発行じに100万円で購入すると、
毎年1万円の利息を5年間受け取りながら、満期時には元金の100万円が戻ってきます。

満期まで持ち切れば、損する可能性は低い債券ですが、発行体である企業や国、
地方自治体などが元金を返すことができなくなったり、
利息を払うことができなくなる可能性はあり得ます。
このような状態を「デフォルト」と呼びます。

債券は満期償還の前に売却することも可能です。
発行体の経営難や、経済ショックなどの要因でデフォルトの可能性が現実味を帯びてくると、
投資家は「このまま持ち続けても、もしかしたら元本や利息がもらえないかもしれない」と思い、
債券を売却する人が増えて債券価格は下落します。
このように、デフォルトの可能性が高まることは債券価格が下落する要因となります。

そして、「世の中の金利上昇」も債券価格が下落する理由となります。
なぜなら、これから発行される債券の利率が高くなれば、
既に発行されている債券の魅力が相対的に下がってしまうからです。

例えば、金利1%で額面100万円の債券を保有しているとします。
現金が必要になり、その債権を売却しようとします。
しかし、その時の世の中の金利が2%に上昇していたとすると100万円で売却することは難しいです。
なぜなら同じ100万円で、金利2%の債権を買うことができるからです。

どうしても売りたいのであれば、5年後に満期になったら100万円で返ってくるこの債券を、
不本意ながら100万円以下の価格で売り必要があります。
例えば、95万円に価格を下げると、買う人にとってもらえる利息は額面の1%(年1万円)にすぎず、
金利2%の債券より利息は1万円少なくなりますが、
95万円で買ったものが100万円になって返ってくるので、5万円の利益が出て、
5年間で5万円の利息の不足をカバーできるわけです。
これが金利上昇と債券価格下落となるからくりです。

世の中の金利が上昇しやすい景気過熱局面では債券価格は下がり、
逆に不景気などで各国が政策金利を下げるような状況では、債券価格は上がる傾向があります。
両者の関係性は、シーソーといわれています。

このことから、景気が過熱する→利上げして景気がオーバーヒートをするのを防ぐ→債券価格が下がる、
というサイクルになりがちで、現状の債券価格はまさにこの状態です。
もちろん、必ずしも全ての債券がそうなるとは限りません。
発行体の状況や債券の種類などによって、個別の債券価格の値動きには異なるからです。

日本は超低金利状態が続いていますが、アメリカを中心とする外国では利上げが行われており、
金利面でのリターンは魅力的な水準となっています。
証券会社には外国債券の個別銘柄を扱っているところもあり、
新規で発行される社債を買えば金利上昇の恩恵を得られるかもしれません。
株式やREITなど、他の投資対象とバランスを取りつつ、債券投資についても検討しても良いでしょう。

 

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