米国雇用統計を知ることは重要
2024.11.7
投資ベテランの方は、必ずと言って良いほど「米国雇用統計」を注視します。
米国雇用統計とは、米国労働省が発表する雇用に関する月次データで、雇用サイドから見た米国の経済の状況が把握できるものです。
米国雇用統計では10数項目が発表されます。特に注目される数字は「非農業部門雇用者数(NFP - Non Farm Payroll)」や「失業率」です。前者は、農業関連以外の産業で働く人の数や増減をまとめたデータです。後者は、米国内の失業者数を労働力人口(失業者数と就業者数の合計)で割った数値です。
米国雇用統計のデータがメディアに流れる前後に為替や株が大きく動くことが多く、動画のライブ放送をしているメディアもあるほど注目されているため、世界中の投資家にとって重要なイベントになっています。
数ある経済指数の中でも特に注目度が高い米国雇用統計ですが、その理由は米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策を決める上でとても重視する経済統計だからです。
FRBの重要な役割は、物価を安定させることと国民の雇用を最大化させること。
FRBが重視する米国雇用統計は、自国の金融政策の方向を左右します。
米国雇用統計と金利や為替との関係も理解しておく必要があります。
米国雇用統計はトレンドを見るのではなく、市場予想との対比で見ることが主流です。
経済調査機関が出した経済予想の平均値を「市場予想(コンセンサス)」といいます。米国雇用統計を見る場合、非農業部門雇用者数や失業率が市場予想に対して「ポジティブ・サプライズ(いい数字)」か「ネガティブ・サプライズ(悪い数字)」かによって、金融市場に与える影響が異なるのです。
非農業部門雇用者数は前月比の増減で表し、「前月比⚪︎⚪︎万人増」というように発表され、失業率は失業者数を労働力人口で割った比率で表し、「失業率⚪︎⚪︎%」というように発表されます。
出典:NHK/アメリカ労働省データより
雇用者数が市場予想を上回る時や、失業率が市場予想を下回る時は、景気が市場予想より良いことを意味します。一般的には消費が増えるので、企業の売り上げが伸びて業績が向上し、企業価値が高まることで株価は上がる可能性が高くなります。さらに景気が好転すると個人や企業の間で資金需要が増えるため、長期金利が上昇する傾向にあります。国家間での金利差が広がると、金利の低い国の通貨を売り、金利が高い国の通貨を買った方が多くの金利を得られるため、相対的に金利の高くなった(高金利の)ドルは買われやすくなります。
一方で雇用者数が市場予想を下回る時や失業率が予想を上回る時は、景気が市場の予想より悪いことを意味します。一般的には消費は後退するので、企業の売り上げが減って業績が低下し、企業価値が落ちることで株価が下がる可能性が高いでしょう。需要の減退、長期金利の低下により、ドルが売られやすくなる傾向があります。
出典:SBI FXトレード/米国雇用統計とは?FXにおける重要指標発表時の対応より
米国雇用統計は、投資方針を決定する上で重要なモノの一つにもなります。
特に、米国株をはじめとした国外の資産に分散投資をするのであれば、必ず確認することが大切でしょう。