現金を持つことは大きなリスク
2023.5.26
みなさんは「スタグフレーション」をご存知でしょうか?
スタグフレーションとは、不景気のなかで物価が上がる状態を指します。
まさに、今の日本はスタグフレーションにあります。
スタグフレーションでは、以下のような悪循環が起こります。
①景気が悪い中で物価が上昇
②企業の業績悪化で給料が上がらない
③消費が減り、さらに景気が悪化
④現金、預貯金の価値が低下
⑤生活がどんどん苦しくなる
この悪循環のなかで、最悪なのは、現金・預貯金の価値が低下してしまうことです。
給料が上がらずに物価だけが上がるため、同じ金額で買えるモノが減ってしまいます。
物価が上昇し続けるというのは、例えば、今日1個100円で買えていた「たまご」が1ヶ月後には200円に値上がりしていて、100円では買うことができなくなるということです。
つまり、1ヶ月の間で持っているお金の価値は半減してしまったということ。
このように急激なインフレではないものの、日々、現金の価値は目減りしているのです。
仮に、インフレ率が年3%で継続したとすると、いま持っている1000万円の実質価値は20年後に”553万円”になってしまいます。せっかく貯金していたとしても、20年後にそのお金を使った時には半分の価値しかありません。
出典:盛岡信用金庫HP「インフレ」より
このグラフを見ていただくと、インフレ経済においては、金利が大事なことが分かるはずです。
年3%のインフレ時に金利が3%付けば、預貯金の価値は目減りしません。
しかし、日銀はインフレが起こっているのにも関わらず量的緩和を続け、イールドカーブコントロールによって金利を抑制し続けてきました。イールドカーブというのは「利回り曲線」のことで、このカーブの傾きを操作して長短金利を目標水準にします。そのために日銀は無制限に国債を購入して、国の借金財政を助けてきました。
日本人は生真面目であり、働いてコツコツ貯金をし、将来に備えるという生き方が定着しています。
しかし、それはデフレが続いて、貨幣価値が将来も変わらないという前提があってこそ可能なこと。
インフレもそうですが、特にスタグフレーションにおいては、
現金や預貯金を持っていることは自殺行為になってしまいます。
余剰資金である「現金・預貯金」は、必ず働かせないといけません。