欧米と日本の高齢者所得の差
2022.9.7
今年は、テレビのニュースで毎日のように円安の状況や物価上昇の話題が取り上げられていますね。
秋以降も値上げが加速し、貯金を取り崩している年金生活の方にとっては厳しい状況が続きます。
内閣府の「令和4年版高齢社会白書」によると、高齢者世帯の所得は312万6000円です。
出典:内閣府「令和4年版高齢社会白書」より
日本の高齢者の所得は、欧米主要国と比べ大きく下回ることをご存知でしょうか。
今回は、欧米主要国と日本の高齢者所得の差についてお伝えしてまいります。
【各国の平均所得金額】
出典:金融庁「人生100年時代における資産形成」(2019年4月12日公表)より
日本と欧米の全世帯平均所得金額と高齢者世帯の平均所得額の差がはっきり出ています。
◯日本:560万2000円(全世帯)/ 318万6000円(高齢者世帯)
◯アメリカ:821万3000円(全世帯)/ 629万5000円(高齢者世帯)
◯イギリス:588万1000円(全世帯)/ 450万1000円(高齢者世帯)
◯ドイツ:608万2000円(全世帯)/ 454万7000円(高齢者世帯)
※高齢者世帯:日本は65歳以上のみで構成するか、これに18歳未満のものが加わった世帯。
アメリカ・イギリスは世帯主が65歳〜74歳、ドイツは世帯主が65歳〜69歳の世帯。
1ドル=110円、1ポンド=1545円、1ユーロ=124円で換算。
アメリカ、イギリス、ドイツと比べると日本は全世帯でも高齢者世帯でも所得が低い結果となりました。
特に高齢者世帯では、日本は300万円台前半と所得の少なさが特に目立ちます。
国により物価や平均給与などは異なりますが、
日本は全世帯・高齢者世帯ともに所得が少ないことは間違いないでしょう。
【高齢者所得の内訳】
出典:金融庁「人生100年時代における資産形成」(2019年4月12日公表)より
公的所得、つまり年金は日本とアメリカが約5割、ドイツ・イギリス・フランスは7割を超えています。
この差はとても大きいものと言えます。
日本とアメリカは公的所得が少ない分、「労働所得」が多く働くシニアは他の国と比べて多くなります。
「資本所得」を見ると日本が最も少なく10%となっていますが、アメリカでは13.9%です。
フランスは資本所得が17.2%と最も高く、それゆえ労働所得は5.5%と他に比べて下がります。
今後、日本の「公的所得」は少子高齢化の影響もあり、今より減る可能性が高いと考えられます。
この5カ国を比較したときに、圧倒的に不利な国が日本だと分かります。
老後の所得の不足分を補うには「労働所得」か「資本所得」がメインとなりますが、
労働所得は大切ながらも、歳を重ねると増やすには体力的に厳しくなってしまいます。
セカンドライフを楽しむためには労働を減らしたいと考える方もいると思います。
欧米主要国のように「資本所得」を増やすことが重要です。
【高齢者の就業率】
世界の65〜69歳の就業率は以下の通りです。
出典:金融庁「人生100年時代における資産形成」(2019年4月12日公表)より
日本の高齢者は、男女ともに欧米主要国よりも働いています。
60代で働くシニアが多くなることで、セカンドライフが始まる年齢も年々上がっていくでしょう。
このグラフから見てもわかるように、日本人は人生の労働期間が長いです。
現に、定年後の65〜69歳でも半数以上の方が働いているのです。
もちろん、好きな仕事のために働いている方もいると思いますが、全員がそうであるとは思えません。
他の国と同様にセカンドライフを楽しむためには、
自分がメインで働くのではなく、お金を働かせることが必要です。
資本所得が労働所得を超えると、今より自分の時間をつくることができるのです。
日本では、まだまだ不労所得や資本所得が良くないものと捉えている方がいらっしゃいますが、
これからの時代を生きていくには、お金を働かせることがとても重要です。
一度の人生だからこそ、やりたいことをやるための選択肢を取ることが必要です。