年金受給のタイミング
2022.5.27
2022年度の年金改正によって、
75歳まで年金の受給開始を繰り下げられるようになり、
最大84%も年金が増やせることに注目されています。
公的年金の受給開始年齢は原則65歳です。
ただし、これはあくまでも原則で、
希望すれば繰り上げることも繰り下げることも可能です。
昨年度までは70歳が限度だった繰り下げ受給が、
今年の4月から75歳まで認められるようになりました。
これにより、年金の受給開始時期は60歳から75歳の間で
自由に選べるようになりました。
繰り上げ・繰り下げの効果とは・・・。
※1962年4月1日以前に生まれた人は2022年4月以上に繰上げ請求しても、
2022年3月までの繰上げ減額率(1ヶ月あたり0.5%)が適応される。
受給開始を1ヶ月繰り上げるごとに年金額は0.4%減らされ、
1ヶ月繰り下げるごとに0.7%増えます。
60歳で受取開始すると、
本来の年金より24%(0.4×12ヶ月×5年)減となり、
75歳で受取開始すると、84%(0.7×12ヶ月×10年)増となります。
84%増ですので、75歳で受給開始することがお得と考えられますが、
果たしてどうでしょうか。
日本人の平均寿命は、男性81.41歳、女性87.45歳です。
しかし、健康寿命で見ると男性72.68歳、女性75.38歳となります。
健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことです。
ここを考慮すると、75歳まで生きているリスクも想定しなければいけません。
もし繰り下げ待機をしている人が亡くなった場合、
遺族は未支給年金を受け取ることができますが、
増額した年金額ではなく、本来の年金額が受け取れるのみです。
しかも、5年の範囲内での受給となるため、70歳到達以降に亡くなった場合、
時効によって消滅してしまう年金が発生します。
また、遺族厚生年金は、繰り下げ前の本来の年金額に基づいて支給されます。
寿命は誰にもわかりません。
無理に繰り下げをして貯蓄を取り崩すばかりでは、暮らしが不安になるばかりです。
繰り下げを考えている方は、60歳以降に収入が減っても
貯蓄を取り崩さなくてすむように、暮らしのを整えることが重要です。
働かなくても1年分の生活費が確保できている状態で65歳を迎えることができれば、
まず1年間繰り下げを行って、様子を見ることも可能です。
特に大事なことが、資産額と支出の把握です。
これにより、正しい繰り上げ・繰り下げの選択をすることができます。
そして夫婦単位で年金受給プランを考えることが必要です。
年金は、家計のバランスを担う役割となるため、
早々に検討しておくことが大切です。