定年後の「再雇用」と「再就職」の違いについて
2023.4.7
働く方であれば、必ず迎えるのが「定年」です。
「定年まであと数年」という方は特に、今後の働き方を考えているのではないでしょうか。
また「定年を迎えても65歳まで働きたいが、再雇用と再就職のどちらを選ぶことが良いかわからない」と迷うこともあるでしょう。
人材会社に勤めていた私の経験からすると、
「現在の仕事にやりがいを感じているのであれば再雇用」
「新たな職種にチャレンジすることを望むのであれば再就職」です。
今回は、再雇用と再就職の概要から、それぞれの特徴についてもお伝えしてまいります。
まず最初に、雇用確保の義務化について知っておきましょう。
以前は定年を60歳としていましたが、2021年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行され、65歳までの雇用確保が進められています。2025年4月からは65歳までの雇用確保が義務化となるため、定年を引き延ばす措置を行う企業も増えていることは事実です。
65歳までの雇用確保が義務化されていれば、60歳時点で再雇用と再就職について悩むことはありません。
今まで通り65歳まで働き、65歳以降にどちらかを選択できます。
ちなみに雇用確保の義務化に伴い、企業は以下いずれか1つの措置を実施するよう努める必要があります。
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・70歳まで定年引き上げ
・定年制度の廃止
・70歳までの継続雇用制度の導入
・70歳まで継続して業務委託契約を締結する制度の導入
・70歳まで継続して、事業主が実施する社会貢献事業または事業主が委託や出資する団体が行う社会貢献事業に従事できる制度の導入
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65歳以降も、自身が希望すれば再雇用も可能です。
現在は65歳を過ぎてもシルバー雇用等で働く方が多く、健康に問題がなければ引き続き仕事ができます。
収入を得ることができれば、年金の繰下げ受給の選択肢も取ることができます。
では、「再雇用」と「再就職」の特徴について見ていきます。
▼定年後の再雇用
企業の定年を65歳未満に定めている場合は、「継続雇用制度」を導入する必要があります。
定年を迎える人が希望した場合、定年以降も仕事を継続できます。
雇用形態が変わるものの、仕事内容は変わらないので、定年前と同様の働き方が叶います。
規模の大きい会社であれば、再雇用は働いている会社だけでなくグループ会社でも可能です。
再雇用時に勤務環境を変えたい希望があると、グループ会社へ相談することを行いましょう。
▼定年後の再就職
定年後、新たな職種にチャレンジしたい人は、勤めている会社を退職して新しい会社の面接を受けましょう。事業主は高齢者の早期再就職を支援するために、本人が希望する場合は「求職活動支援書」を交付する必要があります。
「求職活動支援書」とは、離職予定の人がこれまでに行った職務や経歴について詳しく記載されるものです。書類からその方が持っている能力を把握できるため、再就職に役立つこともあります。
事業主は、離職予定の人への求人開拓や再就職への援助に関しても必要な措置を取る必要があります。
現在勤めている会社からサポートを受けながら新しい仕事を探すことができるため、再就職を希望する人は勤めている会社に相談しておくことが大切です。
「再雇用」はこれまで働いてきた会社で引き続き働ける点、「再就職」は新しい環境で仕事を始められる点がメリットです。
興味があるものの、チャレンジできなかった業界等がある方は、離職して新しい業界に飛び込んでみることも良いでしょう。新たな環境ではなく慣れた環境の方が安心できる方は、再雇用を選択しましょう。
どちらにも共通するデメリットとしては、定年前よりも給与が下がることです。
定年後は雇用形態が変わるため、給与が大幅に下がります。
給与が大幅にダウンしたことで生活に支障が出る場合は、「高年齢雇用継続基本給付金」や「高年齢再就職給付金」を受け取れる場合があるので確認しておきましょう。
また再就職の場合は、再雇用よりも給与が下がる可能性が非常に高いです。
それだけでなく、企業側は業界経験者を採用して即戦力を求めることが多いため、希望する仕事や会社に入る間口は狭くなりやすいです。
2023年3月現在は65歳までで、2025年4月からは65歳以降に再雇用と再就職を選べるようになります。
体が健康な間に働くことは長生きリスクに備えることにも繋がります。
働ける間に収入を得て貯蓄しておき、70歳以降に安心して暮らせる状態を作っておきましょう!