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孫への贈与は節税対策となる

2022.11.28

贈与や相続に関するルールは都度見直されております。
ルールや制度を正しく理解すると節税効果に繋がります。

2021年12月に公表された「令和4年度税制改正大綱」により、
今後しばらくは駆け込み贈与が増える見込みです。

原則として年間110万円以内の生前贈与(暦年贈与)は非課税ですが、
この制度には「持ち戻し」というルールが存在しています。

持ち戻しとは、生前に贈与した資産を相続税の対象に含める制度のことです。
現行では国内の持ち戻し期間は3年であり、
贈与者が亡くなる前3年以内に贈与された資産には相続税が課せられます。

本来、持ち戻しは資産の再分配機能を高める制度ですが、
日本の持ち戻し期間は欧米などに比べると極端に短いです。
やり方によっては節税をしながら多くの資産を転移することができるため、
現状が続くと富裕層に資産が集中することになるでしょう。

この点は今回の「税制改正大綱」で非常に懸念されており、
同文書には「中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める」と明記されています。
また、「諸外国の制度を参考にする」との記載もあるため、
今後は生前贈与の持ち戻し期間は延長される可能性もありそうです。

持ち戻しのルールは、対象が「法定相続人」に限定されています。
つまり、孫をはじめとして法定相続人以外の親族への贈与については、
持ち戻しのルール対象外とされているのです。

それだけでなく、日常生活に必要な出費が贈与税の対象にならない点も、贈与者が覚えておくと有効です。
例えば、孫の入学金や授業料、下宿代などを祖父母が負担する形であれば、
基本的に贈与税が発生することはありません。
仮に相続とみなされた場合でも、贈与先に孫を選ぶと贈与税を一世代飛ばすことができます。
孫への贈与にはいくつかメリットがあるので、節税の一つとして知っておきましょう。

 

ただ、贈与と認められない場合もあるため、特に注意したい3つの事項もお伝えします。

 

①孫の資産を贈与者が管理している場合
生前贈与は、贈与者(祖父母)と受贈者(孫)が互いに「資産を渡す」「資産を受け取る」という
意思疎通をしていることが前提です。つまり、孫に内緒で積み立てたお金や、
物心がつかないうちに与えた資産などは贈与として認められない可能性があります。
この場合を贈与として認めてもらうためには、事実(日付、金額、関係者など)を明記した贈与契約書が必要です。また、お金を振り込む通帳については、貯蓄用でなく孫が普段使っているものを使用することも望ましいでしょう。

 

②祖父母の両方が孫に贈与している場合
孫が複数の贈与者から資産を受け取る場合は、贈与税が発生してしまう可能性があります。
例えば、両方の祖父母が一人の孫にそれぞれ100万円ずつ贈与する場合、
孫は合計で200万円の資産を贈与されたことになります。
年間で110万円を超えた分(90万円)は、税率10%の贈与税が発生してしまうのです。
複数の人から贈与を受ける場合には、事前に金額を把握することが重要です。

 

③必要な生活費などをまとめて負担する場合
前述の通り、日常生活に必要な出費は贈与として扱われません。
ただし、「必要なタイミングで都度負担すること」という前提があるため、
必要な費用をまとめて負担すると課税対象になる恐れがあります。
特に注意が必要なのは、数年分の教育費や生活費をまとめて渡す場合です。
孫が大学などへ進学するときにありがちで、贈与税を回避するには各費用(入学金、教科書代、家賃)が必要なタイミングで都度、お金を渡す必要があります。
また、渡したお金を別の用途で使われた場合も課税対象になってしまうので、
孫の生活をサポートする際は「お金の使い道」も合わせて伝えましょう。

 

生前贈与は、やり方次第で節税につながりますが、
ルールを逸脱してしまうと課税対象となってしまいます。
生前贈与を活用する際は、事前に節税となるか否かを確認して実行しましょう!

 

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