国民年金の納付期間が「45年」に延長される?
2022.12.5
厚生労働省は、2022年10月25日に社会保障審議会(諮問機関)の年金部会を開き、
国民年金(基礎年金)の制度改正に向けて議論を本格化させました。
保険料の納付金はこれまで20歳以上60歳未満までの40年間だったのに対し、
65歳未満までの45年に延長する案を検討しています。
つまり、これまでより5年間も納付期間が長くなる可能性があるということです。
この改正によって受給額や負担額がどのように影響するかをお伝えしてまいります。
国民年金の保険料は月1万6590円で、40年間納付し続けた場合の受給額は月6万4800円です。
国民年金を40年間払うと保険料の総額は約800万円ですが、
国民年金を45年間払うと保険料の総額は約900万円になり113%の負担が増えるのです。
納付期間が5年延長されることで、約100万円の負担が出てきます。
では、負担が増えた分、受給額も増えるのでしょうか?
負担額と同じ割合で受給額も増える場合を考えると、6万4800円の113%が約7万3200円なので、
毎月で約9000円の増額、年間にすると約10万円の増額になります。
ですが、同じ割合で受給額が増えるかは不透明です。
そもそも納付期間の延長を検討しているのは、少子高齢化の中で年金制度も今後も維持する財源を確保するためという理由みたいです。ここから考えると、負担額が増えた分と同じ割合で受給額を増やすことは難しいと思います。
2020年度に発表された国民年金の受給者は約3600万人です。
ちなみに2016年度は約3400万人であり、数年で200万人も増えています。
受給者が増えたことによって、年金総額も増加し続けている状態です。
2022年度の年金総額は約24兆3000億円でした。
2016年度は約22億7000億なので、『1兆6000億円』も増えています。
2022年の国民年金の平均受給額は、月5万6000円でした。
2016年度は5万5000円でほとんど変わっていないことがわかります。
過去の年金月額の傾向を見ても、国民年金が増額される可能性は低いと考えられます。
日本には年金積立金管理独立行政法人(GPIF)があり、年金を運用しています。
GPIFが年金運用して、不足分をそこから補う仕組みとなっています。
2001年から2022年の収益額は+99兆9567億(累積収益額)です。
なぜ、そこから不足分を補わないのかと疑問が残ります・・・。
そのために運用しているのではないのでしょうか?
まだ、国民年金の納付は5年間延長されることが確定に至っておりませんが、
延長が現実となることも想定して資産の対策をしておくことが大切です。