タンス預金大国「日本」
2023.5.12
日本の現金流通高比率は非常に多いです。
一方、世界と比べてみると大きな違いがあります。
出典:きんざいonlineより
現在、キャッシュレス化で世界最先端と言われているのが「スウェーデン」と「ノルウェー」です。
2022年の名目GDPに対する現金流通高の比率は、それぞれ「1.1%」と「0.7%」に過ぎません。
また中国は、キャッシュレス化が進む中で、比率が急激に低下しているものの、
2022年時点で「9%」と北欧に比べると高水準であります。
中国では、農村部などでキャッシュレス化が遅れていることが要因と考えられています。
インドで2016年に同比率が急落したのは、同年の11月に政府が高額紙幣の法的通用力を停止する宣言をしたためです。ブラックマネーの撲滅とキャッシュレス化が目的とされていましたが、あまりの荒技にインド経済は大混乱に陥りました。その後、金融当局は、新紙幣の供給を急遽実施することで事態は鎮静化しました。
北欧に次ぐ低い水準で推移している国がブラジルです。
これはキャッシュレス化が浸透してきたというより、高いインフレ率と預金金利により現金を保有するコストが大きいことに加え、治安の悪さから現金を保有するリスクが極めて高いためです。ちなみに、ブラジルの消費者物価指数は2022年で5.79%であり、ブラジル人に馴染みのある「ポウパンサ」という預金口座では2022年11月時点で年率6.17%でした。
そのブラジルと対極をなす国こそ、日本です。
日本の2022年の名目GDPに対する現金流通高の比率は23.3%と世界一でした。
インフレ率は低く、預金金利はほぼゼロ、他国に比べても治安の良さがあるため「タンス預金」がいまだに拡大しています。キャッシュレス化の影響は、硬貨には現れ始めていますが、紙幣の動きには明瞭に現れていません。
新型コロナウイルスが流行していた2020年には、日本だけでなく、ユーロ圏、米国、インド、ブラジルで現金流通高が急速に高まりを見せました、コロナ感染を恐れて外出の頻度を低下させた高齢者などが、ATMでの1回あたりの引き出し額を増やし、通常より現金を保有したためです。
また、ロシアに近い欧州の国々では、ウクライナ戦争が始まった2022年2月下旬から現金流通高が数ヶ月間急増しました。有事が波及してきた場合にデジタル決済が停止するリスクを警戒したためです。自然災害が頻繁に起きる日本のような国では、そのリスクも考慮しなければなりません。
そのため、中央銀行デジタル通貨を発行する中銀がこの先増えたとしても、現金の完全廃止には至らないと考えられます。
日本では、2024年に新紙幣が発行されます。
一部でキャッシュレス化の推進に逆行するのではないかといった声もありますが、新紙幣発行の真の狙いは新技術導入による偽札防止と言われています。ですが、そもそも日本では偽造がほとんどないため目的は他にあるのでしょう。現に2004年の前回の新紙幣一新計画では、「財政赤字を減らすこと」が隠れたテーマとしてありました。財務省には、新紙幣発行の混乱に乗じて額面の2割くらいを財産税のようなものとして徴収する計画があったと言われてます。つまり、1万円を持ってきたら8千円と交換して、国が20%を徴収する。それにより、国の借金を減らすように考えていたそうだ。
こんな馬鹿げたことがあるため、今回の新紙幣の発行も隠された別の意図があるのでしょう。
タンス預金が多い日本では、お金が働いていないため、価値が減っていく一方です。
日本に住んでいることから、基準が日本だけの思考である方がほとんどでしょう。
世界の視点からモノゴトを見てみると、変えることが必要なことが見えてきます。