「投資家」と「経営者」
2023.4.13
日本人の多くが投資には興味がなく、投資をしていない現実があります。
これには、投資が難しそうでよくわからないということもあるでしょう。
本音では儲けたいけれど、建前でそれを表に出さない。
だから投資には興味無いフリをしていることが多いです。
また、日本では多くの人が「投資の儲けは不労所得」だと思っています。
では、そもそも働くというのはどういうことを言うのでしょうか。
私たちが普段行っている仕事の内容から考えてみると、「モノを作る」「販売する」「売り込みに行く」「事務処理をする」「研究開発に従事する」など、これらの役割が出てくると思います。
言うまでもなく、事務処理をするという中には、人事・経理・総務といったバックオフィス的な仕事はすべて含まれます。どんな業種であれ、これらの業務は存在するため、働くということのイメージがこれらの仕事になるのは当然です。
では経営者は、どんな仕事をしているのでしょうか。
普通は、先ほどあげたような仕事は何もしていません。
トヨタ自動車の経営者が工場で車を組み立てる作業に従事することはありませんし、ユニクロの経営者も店舗に立って服を売ることもないでしょう。
では彼らは、一体どんな仕事をしているのでしょうか。
経営者の仕事は、「判断すること」そして「判断したことに対して責任を取ること」です。
会社が持っている経営資源、俗に「ヒト・モノ・カネ」と言われてますが、
人員をどの分野に投入するか、設備やインフラをどう活用するか、何にお金を投資するかを必死で考えて決断することです。
うまくいかず会社に大きな損失が生じると、責任を取って辞めざるを得ないということも起こり得ます。
さらに、辞めるだけであればまだしも、株主から訴訟を起こされ、損害賠償を請求されることもあり得ます。つまり、経営者はリスクを取って事業をしているのです。
リスクを取るからこそ、高い報酬が得られるということです。
でもこれをよく考えてみると、「投資家」がやっていることと同じことになります。
投資家は、自分の持っているお金(資産)を何に投下すれば一番収益が上がるかを考え抜いて、投資を決断します。その結果が良いか悪いかは、その時になってみないとわかりませんが、
どちらになったとしても責任は投資をした自分が負うことになります。
つまり、経営者がリスクを取って事業を行うことと、投資家がリスクを取って投資をするのは全く同じことなのです。
そして、会社員が多く経営者が少ない日本の体制と同様に投資をする方が少ないということにつながります。
経営者と投資が同じ感覚であるとすれば、経営者視点で判断することのない会社員にとっては、自分での投資の経験がない限り、投資家の視点も理解できないということになります。
このように考えていくと、「投資の儲けが不労所得」と考えてしまう人が多いことも理解できます。
でも、利益というものは、そういう不確実性=リスクの対価として生まれてくるものなのです。
その本質が理解できていなければ、「投資の儲けは不労所得」と思うのも無理はありません。
正しくお金の本質を考え、学ぶことが大切です。