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相続人が認知症の場合

2022.10.11

日本は、2007年に高齢化率が21%を超え、「超高齢社会」を迎えております。

最新の発表(2022年9月)では、高齢者の人口は3637万人となり、
高齢化率は、29.1%に達しているとのことです。

その中で、約602万人の方が認知症者であり、
65歳以上の方の6人に1人の割合が認知症を患っている状況です。

 

もしも、相続人が認知症だったらどうなるのでしょうか。

 

今回は、川﨑公司さんの著者「この1冊でわかる 揉めない遺産分割の進め方」より、
相続人が認知庁の場合についてお伝えします。

 

相続人に未成年者がいる時と同様に、重度の認知症の人がいる場合、
スムーズに遺産分割を進めることができません。
この場合、遺産分割協議を有効に成立させるためには、
「成年後見人」を立てる必要があります。

成年後見人とは、被後見人の財産に関する法律行為について包括的な代理権を持ちます。
相続人の意思能力が全くない場合も、売買契約・消費賃借契約・賃貸借契約などの財産的な「契約」は、
すべて成年後見人による代理が可能です。

遺産分割協議も、遺産という財産に関する相続人間の契約ですので、
成年後見人が代理人となることで進めることができます。

成年後見制度には、「任意後見」と「法的後見」の2つがあります。

 

【任意後見】
任意後見制度は、本人の判断能力がある間に、将来に備えて「任意後見人」を選び、
公正証書で任意後見契約を結ぶ制度です。
例えば、被相続人自身が将来の認知症発症に備えて任意後見人を選任するような時は、
任意後見人がふさわしくなります。任意後見制度は本人と任意後見人の間で契約を交わせるため、
本人の意思を反映させやすいというメリットがあります。

 

【法定後見】
法定後見制度は、本人の判断能力がすでに不十分な場合、
家庭裁判所によって後見人が選任される制度です。
いざ相続が開始し遺産分割協議をしたいけれど、
相続人のなかに認知症の人がいるような時は法定後見制度を活用してください。

 

成年後見人を立てる手続きについてお伝えします。

まずは、被後見人の住所地を管轄する家庭裁判所に「後見開始申立」を行い、
誰を成年後見人にするかを選任します。
成年後見人になるためには必要な資格は特にありませんが、誰でもなれるわけではないです。
家庭裁判所で審判を受けて選任してもらう必要があります。

申し立てには、住民票・戸籍謄本・後見登録されていないことの証明書など公的な必要書類の他に、
医師の診断書も添付します。加えて、本人の状況や申し立ての目的、
後見人の候補者の状況などを記載した書類、本人の財産目録や収支状況を記載した書類などの作成も必要。

これらの書類を家庭裁判所が精査すると、後見人候補者との面談による調査や、
必要に応じて医師による精神鑑定が行われます。

後見開始の審判が下ると、選任された成年後見人が本人の代理として法律行為を行うことができます。
審判が下るまでの期間は事案の複雑さなどによって異なりますが、1〜3ヶ月が目安です。
金額は、申立費用と添付書類の収集費用を合わせた1万〜1万5千円ですが、
精神鑑定が行われるとさらに5万〜10万円程度が発生します。

正式に後見開始となれば、後見人を入れて遺産分割協議を進めることができます。
このとき注意すべきなのが「利益相反行為」です。

未成年者が相続人になる場合と同様、認知症の相続人と後見人である近親者の利益が相反する場合には、
遺産分割協議についてのみ特別代理人を立てることになります。
特別代理人の選任には家庭裁判所の審判が必要で、弁護士や司法書士が選任されるのが一般的です。

 

 

人生の中では、相続をいずれ経験することになりますが、
さまざまな状況によって、必要な対処を取らなければいけません。

少しでも知っておくことで落ち着いた対応につながるでしょう。

 

 

 

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