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FXで老後資産をつくることは危険

2022.8.29

最近は、少し落ち着いたものの年初から為替相場は円安に振れ、
1年前から比べると20%以上も下落しております。

それに伴い、外国為替証拠金取引、いわゆるFXの取引額が上昇しました。
金融先物取引業協会の調査によると、
2022年6月の店頭FXにおける取引金額は前月比25.9%増の1230兆円で、
2008年11月に統計を取り始めて以来、最高を記録しました。

この流れによってFXを始められた人もおり、
書店でも投資コーナーにはFX関連の本がたくさん並んでいます。

FXとは通常レバレッジを掛けて行う取引で、自分の持っている資産の
何倍もの金額をかけることができるので、投機的な取引となります。

FX自体は全く悪いものではないです。
FXの本質が投機であることを理解した上でそれを利用し、
それにかかるリスクを承知の上で収益を狙う場合は良いと思います。
ただ、流れに乗るために初め、よく分からないまま取引をしてしまう人が少なからずいるそうです。
全くの投資初心者がこれから投資を始めるという時に、
最初にやってみる方法はそのような投機的な取引が適切ではないということです。

今回は、FXで老後資産をつくることが危険な理由を2つお伝えします。

 

【FXはゼロサムゲームの側面が強い取引】

株はそれを発行している企業自体に出資するというものです。
その企業が成長を続けることで配当が増え、値上がりによる利益を得ることができます。
もしその企業の株主の誰もがその株を長期的に保有していれば、
みんな同じように利益を得ることができる「プラスサムゲーム」です。

一方で、FXに代表される為替取引というものは長期に保有していれば、
誰でも利益が出るというものではありません。
誰かが儲かれば、その裏側で誰かが損をする、すなわち「ゼロサムゲーム」としての側面が強い取引です。
だからこそ、運用はどうしても短期的かつ投機的になりがちです。
プロの為替ディーラーも個人のFX投資家もその多くは1日のうち、
何度も頻繁に売買を繰り返して利ざやを稼ごうとしているのです。
少なくとも「株式投資より何倍も難しく、専門知識が必須」ということです。

 

【為替レートを読む難しさ】

株式や為替レートにしても、変動する直接の理由は「需要」にあります。
需要が多いということは、すなわち買いたいと思う人が多いと上がり、
逆に売りたい人が多ければ下がるということです。
ところがその需要を決める要因は何かというと、
株式の場合、最も大きいのはその企業の業績が良くなるか、悪くなるかです。
したがって、企業の財務内容を分析したり、決算短信や有価証券報告書といった開示書類を
細かく調べたりすれば、今後その企業が成長するかどうかについてある程度予想することは可能です。

ところが、為替レートというのは単に異なる通貨を両替するときの比率のことですから、
通貨自体が何か新たな価値を生み出すものではありません。
レートの変動はあくまでも通貨交換に参加している人たちの心理がどうなのかで大きく左右されます。
つまり取引に参加している人たちの心理を読まなければならないので、難しいです。

老後資金のために資産形成するのであれば、運用自体は長期になるので、
こうした短期的かつ投機的な運用は、全く向いていないと考えるべきです。

投資の基本のひとつは、「自分がわかるものに投資する」ということです。
でも「知っている」と「わかる」という意味は違います。
いくらドルやユーロを知っていて、使ったことがあるのでなじみがあったとしても、
その価格変動のメカニズムや取引の特徴を理解しないまま大金を投じてしまうと、
思いがけない変動で大きな損失を被りかねません。
自分で納得したものに「自分自身の判断」で投資するということが基本です。

 

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