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死ぬまで働かないといけない国「日本」

2023.4.19

会社を定年退職して、大切な余生を満喫するかつての生き方は、日本では夢物語になりつつあります。

一昔前であれば、定年退職は60歳の還暦が一般的でした。
しかし、今や一部企業では65歳まで引き上げられ、2025年4月からすべての企業に「65歳定年制」が義務付けられます。さらに政府は68歳までの延長も検討している現状です。

年齢を重ねても意欲的に働きたい気持ちがある人々には、良い施策です。
ですが、好むと好まざるとにかかわらず、全員が「働かざるを得ない」国へと日本は突き進んでいます。

 

ニューヨーク・タイムズ紙は、契約社員として長年働いてきた男性の暮らしぶりを紹介しています。
年金は国民年金の月6万円のみです。住む場所によっては、家賃も満たせません。
なにか食べ物を買うために、恒例になって体調を崩しても働かざるを得ない。
そんな時代への入り口を、日本はゆっくりと潜りつつあります。

高齢者に労働を迫る日本の実態は、海外でも報じられるようになりました。

ニューヨーク・タイムズ紙は今年の1月、日本の高齢化と退職年齢の延長に迫る記事を掲載した。
「アジア社会で高齢化が進み、退職はさらに働くことを意味するようになった」との見出しです。

記事は、東京の青果卸売会社に勤める73歳の男性の日常です。
この男性は重い積み荷を運ぶ業務を日々こなしていますが、経済的事情で当面引退できそうにないと言います。男性は毎日1時半に起床し、車で1時間かけて湾岸エリアにある青果市場に通います。
野菜が詰まった重たい箱を都内の飲食店に配達して回っている。医師からは、重量のある荷物を運び続けたせいで、背骨の軟骨がすり減っていることを告げられました。
それでも配送の仕事を休むことはできません。
この男性はこれまで、契約社員などとして各社を転々としてきました。もらえる年金は国民年金の基礎年金分に限られます。同紙に対して、月6万円だけでは生活が維持できないと打ち明けています。

 

「体が許す限り、働き続けなければならないのです」
「楽しくはない。それでも生きるためにやっているんです」

 

生きるためには、いかに辛抱強く働かないかといけないということが伝わってきます。

すべての人が過酷な定年後を迎えていませんが、
将来的に働き続けないといけない状態を迎える方は増えることでしょう。

 

日本の高齢化は止まりません。
総務省統計局によると、昨年9月時点で日本の65歳以上の高齢者人口は、
過去最多の3627万人に達したと発表。
総人口に占める割合は29.1%と、こちらも過去最高を記録しています。
このうち75歳以上の人に焦点を絞ると、総人口に占める割合は初めて15%を超える結果に。
統計局は団塊の世代が75歳を迎え始めたためと分析しています。

また東京在住のジャーナリストのティサンカ・シリパラ氏は、政治外交専門誌の米ディプロマットへの寄稿を通じ、「日本では世界中のどの国よりも早く高齢化が進んでいる」「高齢者たちは永遠に働くための準備をしており、職場に戻ったり、生き残るために低賃金の仕事を引き受けたりしている」と現状を報じています。
さらに、高齢人口の比率が高まり、年金制度と医療制度に限界が限界が来ている事で、高齢でも働き続けなければならない社会が到来した。そして、「日本では老後を生き抜くことが難しくなっている」とも論じています。

日本に住んでると当たり前にしかすぎないことですが、
他国の目線でこれを捉えると、いかに日本で生きることが大変なことかがわかります。

 

色々なデータの中で、高齢者になっても働きたいというデータが出てきます。
ですが、これは働かなければ暮らせないという事実の裏返しでもあるのです。

財務省の財政制度等審議会は、68歳への定年引き上げに合わせ、年金の受給開始年齢も同年齢からとする案を検討しています。
現在は65歳から受給可能ですが、引き上げられた場合、退職から受給開始までに空白の3年間が生じます。
手持ちの預金を切り崩しながら耐えられる人ばかりではないでしょう。

厚生労働省の2019年財政検証結果レポートによると、国民年金(基礎年金)の第1号被保険者は約1500万人に上ります。そのうち老後も継続収入が見込める自営業は2割弱にすぎず、大半の短時間労働者や無職であることが現状です。
アメリカで401Kと呼ばれる個人型確定拠出年金は日本では広く普及しておらず、
公的年金だけでは生活費をカバーできないまま、自助努力に委ねられています。

いつになっても労働を求められる日本の老後のあり方は、海外でも注目されるほどの大きな問題です。

 

だからこそ、老後のために今のうちからお金を働かせておかないといけないのです。
お金を働かせておくことで、定年後に「働く」「働かない」の選択が可能となります。
病気や体力的な問題は、その時を迎えないと分かりません。

そのために、今できることをやっておくことが重要だと考えます。

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