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日本が投資に消極的な5つの理由

2023.9.29

日本の個人投資家の投資行動を見てみると、他の先進国と比べて異なる特徴が見えます。
それは、預貯金比率が圧倒的に高いことです。

日本銀行が四半期ごとに発表している日本の家計の個人金融資産から、
資産全体の半分以上が預貯金であることが分かります。

2023年3月末時点の日本銀行調査当局「資金循環統計」を見ても、預貯金は全体の54.2%と高い比率のままです。

これは、米国の12.6%、ユーロ圏諸国の35.5%と比べると対照的です。

日本の預貯金の割合が高いことについては、みなさんご存知ですよね?

では、日本人はこれを知っていても、なぜ消極的に投資をしないのでしょうか?

そこには5つの合理的な理由が隠されています。

①マネーリテラシーの欠如
日本の公的教育では金融教育が行われていません。
本格的に金融教育が導入されたのは2022年からであるため、ほとんどの方は金融教育を受けていません。
投資を始める方は、ネットや書籍などの断片的な知識から始めるしかありません。
中には知人からしっかり教えてもらった方もいると思いますが、ほとんどの方は体系的な知識を得ることができず、効率的な投資が実践できていない結果、感情的な投資によって失敗する人も少なくないのです。
投資の成功確率が下がっていることが、「投資=危険」とういう偏見に繋がり、リスクを取らなくなってしまうのです。

私も、いろいろな方とお話をする中で、過去に投資で大きな失敗をしてしまい、そこからは投資に前向きでない方がいらっしゃいました。投資に失敗すると、すべての金融商品がリスクだと思ってしまうのでしょう。

日本以外の先進国では、何年も前から金融教育を導入し、学校できちんと教わっているので、日本人よりマネーリテラシーが高く、投資に前向きであり、着実に資産を増やしていっています。
マネーリテラシーの欠如は、変化の多い世の中で最も恐れないといけないことです。

②リスクに対する過剰な回避
心理学の実験によると、国際比較によって日本人は他人から非難される可能性があることを避けようとする傾向が強いという結果が出ています。

失敗することを極端に恐れるあまり、チャンスがあってもそれを活用しようという意識が低く、安定した方法を選んでしまいます。つまり、資産運用であれば、投資よりも元本保証の預貯金を選んでしまうということです。

③投資に対する偏見
投資と聞くだけで「ギャンブル」や「あぶく銭」といったネガティブなイメージを持ち、投資が人生にとって大切な問題であるという意識が希薄なのです。

確かにギャンブルのようなものもありますが、それは投資ではなく「投機」です。
投資と投機は全く意味が異なります。

「投資」・・・投資対象の成長や価値そのものに長期的な期待をして出資すること。
「投機」・・・短期的な機会にお金を投じること。

日本人は、この投資と投機が別ということを知らない方が非常に多いです。
そのため、投資=怖いという考えを持っているのでしょう。

自分で稼いだお金と同様に投資でお金を稼ぐことも大切だという意識が広がらなければ、いつまで経っても投資に対する偏見は変わらないと思います。

④デフレ経済の長期化
1980年代後半からバブル経済が発生した反動により、1990年代から30年近くデフレ経済が続きました。
株価の低迷と物価の下落基調が長期に渡り続いたことで、リスクを取らない預貯金が良いという思い込みが刷り込まれてしまったのです。

1980年代は、郵便局の定期にお金を預けるだけでも8%以上の金利が付いていたので、その当時は定期に預けることで資産を増やすことができていました。

ですが、1995年には金利が1%を下回り、預金が良い時代は幕を下ろしたのです。

⑤高齢者の資産の偏り
日本の個人金融資産の6割以上は65歳以上のシニア層が保有しています。
これは、毎年発表される内閣官房のレポートを見れば分かります。


出典:内閣官房 資産所得倍増に関する基礎資料集 より

一般的に、年齢が高くなればなるほどリスク許容度は小さくなり、リスク資産の保有に消極的になります。
預貯金に資産が偏っていることは、高齢化という日本の環境変化を考えれば、ある意味合理的な行動ともいえます。

この資料からみなさんは何を感じたでしょうか?

新紙幣、マイナンバー、相続税、暦年贈与・・・など

いろいろな改正に繋がりが見えてくるのではないでしょうか。

今回は、5つを取り上げました。
日本人が投資に消極的なのは、教育や歴史的背景、偏った考え方などがあります。

それだけでなく、江戸時代からお金持ちは悪という考えを教え込まれていました。
当時は百姓等が賞金目当てに落武者狩りが絶えない状況でしたので、お金は卑しい・お金を欲しがらないという政策を徳川家康が講じたとも言われています。貴穀賤金はこの考え方の一つかもしれませんね。

いつの時代も生きていくためには、変化が必要です。
今は、令和に合った変化を取り入れることが大切でしょう。

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