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定期預金でも「元本割れ」

2022.8.8

日本の資産の半分以上は、銀行預金となっております。
今の時代は、簡単に銀行が潰れることは考えにくいため、
銀行にお金を預けることで安心を得ている方もいらっしゃるでしょう。

しかし、銀行に預けるリスクはゼロではありません。

今回は、定期預金をもとにお金の価値についてお伝えしてまいります。

 

【額面の元本と価値の元本】
投資にはリスクが付き物であり、時には元本割れします。
そのため、投資をしない理由として「増えなくても、減らない定期預金で良い」や、
「銀行よりもタンス預金の方が安全」ということをよく聞きます。

銀行やタンス預金は、本当に元本割れがないのでしょうか?

お金には、「2つの元本」があります。

一つは、「額面」の元本です。
銀行の預金やタンス預金は、額面の元本が割れてしまうことはないと思います。
(銀行破綻や自宅の盗難、被災が起こらない限り)
「増えなくても、減らさなければ良い」ということは叶うでしょう。

もう一つの元本は、「価値」の元本です。
実は、銀行の預金もタンス預金も「価値」の元本までは守ってくれません。

「定期預金でも元本割れの可能性がありますよ」というと、
多くの方は「それは、銀行が破綻した場合のことでしょう」と返すでしょう。

実はこの「価値」の元本というのは、
そうした「アクシデント」による元本割れの話ではございません。

ハッキリ伝えると、定期預金はすでに元本割れしてます。

どういうことかというと、例えば定期預金に100万円を1年間だけ組むとします。
仮に定期預金の利率を年利0.01%とした場合とすると、
「元本100万円で得ることができる利息は100円」と言いたいところですが、
利息にも所得税と住民税がかかります。

この税金を引くと元本にプラスされる利息の額は80円です。
つまり、満期時に受け取ることができるのは1,000,080円ということになります。
確かに、大きくは増えていませんが、減ってもいません。
「額面」の元本は確保されました。

ですが、残念ながら「価値」の元本は割れてしまいました。

 

【定期預金でも元本割れ】
この数年間の消費者物価指数は「プラス1.0%」です。
消費者物価指数とは、物の価値やサービスの価格の平均推移、
つまり「物価の変動」の幅を見つけるための指数です。

1年間で物価の変動は幅が「平均1.0%アップした」ということです。

つまり、1年後に全く同じ質と全く同じ価値を保っている品物を買おうとすると、
値段が1%上がっています。

ある品物に2021年8月に100万円の値札が付いていたとしましょう。
2022年8月に全く同じ質の品物を買おうとした時、101万の値札となっているということです。

既にお分かりだと思いますが、定期預金の利率と物価の変動幅を比べると、
明らかに定期預金の利率の負けなのが、ご理解いただけると思います。

これが「価値」の元本が割れてしまったということです。

 

【1%であれば我慢できる?】
現役世代のみなさん、お給料は前年と比べて、何%UPしましたか?
手取り額は意外と伸びていないのではないでしょうか。
お給料の手取り額の伸びは、ひょっとしたら、物価の変動幅に負けているかもしれませんね。

年金世代のみなさんは、受給額が前年から0.1%UPしました。
ということは、物価の変動幅には追いついていません。
つまり、年金も物価も変動幅に負けてしまってます。

2022年は物価上昇が酷いとと言われています。
プラス1%の物価の変動幅なら、我慢して何とかして乗り切ろうとするでしょう。
しかし、もし「物価の変動幅がプラス」という状態が、
今後、毎年、続いていくとしたらいかがでしょうか?

実は投資が必要なのは、何も投資によって「お金を増やす」ことが目的ではありません。

投資には「お金の価値を守る」という目的もあるのです。

今後も物価上昇が毎年続くことを前提として、
「お金の価値を守る」投資を行うことが必要です。

 

 

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